これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date:  Thu, 25 Jan 2001 00:15:22 +0900
From:  Tamami Kojima <tamamik@arttowermito.or.jp>
Subject:  [atm-info,01120] Nihon no Uta Kono Hyaku-nen III
To:  atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id:  <20010124151634.E117E5E58@mail.asahi-net.or.jp>
X-Mail-Count: 01120

▼水戸芸術館ATM速報2001年1月24日発----------------------

「あたかも自然の造形によって、動物や植物などの生命体が様々な
形をとるようなものと言えるだろう。--それらは、音楽的アイディア
を、新鮮に、姿よく、最も簡潔な形式と単純な手法で表現し得ている、
古典的なモデルなのである」

これは、ハンガリーの作曲家バルトークが、ハンガリー農民音楽の
メロディー約8,000曲を研究・分析・分類した研究所の序文に書き
しるした言葉です。つけ加えるなら、それらは芸術音楽の種子であり、
また、今、日々にこわれてゆく人間の内なる自然をよび返してくれる
養土です。

日本の近代の音楽家・詩人たちが伝承のうたの養土から、いろいろな
うたの花々を咲かせた、それらを山田耕筰から現在まで並べて見たら、
はじめに新しい道具ピアノの伴奏をつけたものから、古い道具、箏、
三線(さんしん)などを使ったものまで、こんなに楽しいものが並び
ました。 伝承のうたの養土をみごとに生かした詩人は北原白秋で、
ほとんどすっかり民謡にきこえてしまう山田耕筰の<松島音頭>も、
深井史郎の<日本の笛>も、白秋の詩です。

日本の伝承には伝統邦楽という財産もあって、橋本国彦の<お六娘>
にきこえる長唄の形のしゃれたおかしみは、気鋭のジャズ・
ピアニスト佐藤允彦が書いた<下駄泥>につながっています。

間宮 芳生(水戸芸術館音楽部門企画運営委員)

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シリーズ最終回
水戸芸術館開館10周年記念事業
日本の歌・この100年 III. 伝承のこえ―にほんの謡・歌・唄ー
企画・構成・司会:間宮芳生

うた:山口道子、斎藤忠生、波多野睦美、田中悠美子
ピアノ:水月恵美子、佐藤允彦
フルート:西沢幸彦
三絃、三線、西潟昭子
十七絃箏:竹澤悦子

2001年1月27日(土)15:30開場 16:00開演
料金(全席指定):A席3,500円・B席2,500円 チケット発売中
水戸芸術館チケット予約センター Tel. 029-231-8000

プログラムは、山田耕筰の<中国地方の子守歌>などパイオニア
たちの作品に始まり、間宮芳生の<日本民謡集>でひとつの
クライマックスを迎えます。"南部牛追唄" や "こきりこ" と
いった民謡が、ピアノ伴奏の衣装をまとって "現代のうた" に
姿を変える様は聴きものです。
さらに後半は、沖縄の詩人・山之口獏のユニークな詩に作曲した、
うた、三線、箏、ピアノ、打楽器が活躍する、吉川和夫の<五つ
のウムイ>や、ジャズ・ピアニスト佐藤允彦が中山千夏の詩に
作曲した<下駄泥>など、ひときわ愉快な作品が並びます。
山口道子、斎藤忠生、波多野睦美、田中悠美子というそれぞれ
個性的な 4人のうたい手を初めとする多彩な演奏家たちが、
日本人である私たちの遺伝子に、新たな活力を吹き込んでくれる
ことでしょう。

http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---