これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date:  Fri, 4 Jan 2002 20:33:28 +0900
From:  tamamik@arttowermito.or.jp
Subject:  [atm-info,01333] Message from Hiroko Mogaki / New Year=?iso-8859-1?Q?=3Fs_Concert_?=	=?iso-8859-1?Q?2002?=
To:  atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id:  <49256B37.003F53F4.00@david.arttowermito.or.jp>
X-Mail-Count: 01333

▼水戸芸術館ATM速報2002年1月4日発------------------------

新年おめでとうございます。
音楽の、芸術の、美しい力を信じて皆様とともに進む1年をさらに、
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

残席はごくわずかとなっておりますニュー・イヤー・コンサート、
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1200/1297.html
スペシャルゲスト、茂垣裕子さんからのメッセージ全文をどうぞ。

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茂垣裕子さんからの「アムステルダム便り」

2年間の大学での講師の職を離れ、ドイツ歌曲を始めもっと幅広く
ヨーロッパの音楽を勉強がしたいが為に、飛び込んだ留学先の
ザルツブルグで、指導教授から、オランダ国立オペラ劇場の
オーディションを受けてみてはといわれ、幸運にも一度目で合格。
ちょうど前後して、オランダでは新しい国立劇場が作られ、
オペラ及びバレエ専用となりました。この国立劇場の設備は
素晴らしいものです。舞台ひとつを例に上げても分りますが、
お客様から見える舞台、それにお客様から見えない裏の舞台3面を
全部合わせるとサッカーが出来るぐらいの広さになります。
舞台のセットをそのまま後ろのスペース、わきのスペースと
移動しながらすばやく新しい舞台セットを準備していきます。
この劇場ではナショナルバレエ公演もありますので忙しい時は、
進行中のオペラのセット、バレエのセット、次に幕の開くオペラの
セットの準備などで狭く感じるほどです。

オペラには華やかな衣装がなくてはなりません。劇場の最上階に
衣装のアトリエがあり、男女別の衣装を作る専門家が分かれて
作業をし、プロダクションごとに違うコスチュームデザイナーの
衣装を、着る人の身体に合わせて作っていきます。デザイナーから
特別な色の注文があるときは、劇場の中の染場で色が染められ、
帽子やかつらも必要に応じてそこで作られます。日本を代表する
国際的コスチュームデザイナー・ワダエミさんも、このアトリエで
作業をし素晴らしい衣装をお作りになりました。

数多くのオペラに出た人はその人の身体に合ったいろいろな衣装が
どんどん増えていくことになり、それらの衣装は劇場の外の特別な
場所に保存され、何年か後に同じオペラの再公演があるときには
そこから出され使用されます。

この劇場では、イタリア、ドイツオペラはもちろんのこと、
フランス、ロシア、チェコ、ポーランドオペラと幅広く上演され、
すべてオリジナルのテキスト(原語)で歌われます。

オランダという国は、飾り窓、ソフトドラッグの使用、
安楽死の認可、同性愛の結婚など、実に自由な発想を持った国です。
オペラもしかり、演出家の解釈によって伝統的な演出のオペラでは
なく、まったく斬新な物になることが多々あります。たとえば、
カルメンを例に上げますと、本来、タバコ工場とそこの工員が
設定されますが、当劇場では、オペラ劇場と観客でその舞台の上で
物語が進行しました。正直言って、出演している我々も当惑する
ことがあります。

裸の人が出て来たり、本物のラクダ、熊、牛、馬、猿なども出演する
などなかなか観客も楽しませてくれます。

出演している方の側の歌うこと以外での楽しみと言えば、
不謹慎ですが、オペラ上演中、舞台の上で小道具として出ている
ワインの代わりのジュースを飲んだり、焼き立てのパンやロースト
ビーフを食べることでしょうか。

今回、水戸芸術館ニュー・イヤー・コンサートに出演させていただき、
自分の故郷で歌えるという言うことは本当に幸せなことです。

日本とオランダの小さな掛け橋になれたらと思っています。

アムステルダム

茂垣裕子

http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---