これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date:  Sun, 17 Mar 2002 17:56:45 +0900
From:  tamamik@arttowermito.or.jp
Subject:  [atm-info,01376] Gekidan Kara-gumi *New Work* "Ito Joro"
To:  atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id:  <49256B7F.00311A6B.00@david.arttowermito.or.jp>
X-Mail-Count: 01376

▼水戸芸術館ATM速報2002年3月17日発----------------------

長野県岡谷市。つぶれた紡績工場の跡にできた繭の納屋工場。そこで
夜勤の日、うたた寝してしまったばかりに、川のはん濫に気づかず、
流された繭8トンと壊れた座繰。
その弁償のために町を去った女・湖村蚕。
中指に蚕と心の痛みを感知し合うという水晶の爪をもつ晶が、彼女を
探してたどり着いた先は喫茶店マドンナであった。
その店内で人材派遣会社が開く<女のオークション>に自ら志願した
蛋は、工湯の弁済のために十ヶ月の胎内を売ろうとしていた。
流された繭の侍間から抜け出せない蚕を引き止めるために
晶が差し出した物は、切っ先のとがった一本の水晶だった。
晶が水晶剣と名付けたそれは、二度つぶれた工場に、三度目に
作られた時計工場のクォーツの名残りで、中指に持つ音叉の形をした
水晶の爪の親でもあるという... 。
四度の眠りと脱皮を経て繭をつくる蚕のように、四度うたた衰した後に
夢と現実の狭間で蚕の口から吐き出される一本の絹糸。
その境界線をはらむ女に水晶剣が時を伝える -- 。


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劇団唐組 <新作> 水戸公演 「糸女郎」 作・演出:唐十郎
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2002年5月10日(金)・11日(土)・12日(日)毎夕7時開演
会場:水戸芸術館広場特設紅テント(雨天決行)

役者陣:唐十郎、鳥山昌克、久保井研、辻孝彦、稲荷卓央、
藤井由紀、中袴田克秀、岩倉弘樹、赤松由美、木下敬志、
藤本拓也、真名子美佳 ほか
宣伝美術:合田佐和子
作曲:安保由夫・佐藤悠介
舞台美術:劇団唐組
制作:劇団唐組制作部
協力:株式会社文化印刷

料金:一般 3,000円、団体 2,700円(10各様以上)、学生 1,500円
*団体・学生券は水戸芸術館のみの取扱いとさせていただきます。
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チケット発売:2002年3月23日(土)
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・館エントランスホールチケットカウンター(9:30〜18:00、月曜休)
・館チケット予約センター Tel. 029-225-3555(9:30〜18:00、月曜休)
・ATM速報受信のお客様のご予約は、メールでも承ります。(13:00〜)
mailto:ticket@arttowermito.or.jp
・チケットぴあ Tel. 03-5237-9988
・CNプレイガイド Tel. 03-5802-9999

メールでのご予約は上記アドレス宛、発売日13時以降の、館サーバ
受信タイムスタンプとなるようお送りください。13時以前に完売等
取り扱い終了の場合は、ATM速報でお知らせいたします。
そのような場合もございますことをどうぞご了承ください。
ご予約のための様式(音楽・演劇共通)をお持ちでない方は、
お手数ですが、上記アドレスまで、事前にご請求ください。

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登場人物
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晶:龍のレリーフがあるバックルのベルトをしめ
    湖のある里からやってきた
藤村:ボディ・チャンドラーという職。梶という女との同棲体験あり
    晶に、チャンドラーの頭をとって「チャン」と呼ばれる
薊町:ヌラリとしたブロー力一。繭の葉と呼ぶジャックナイフを使う
赤目:藤野の使い走り。目は蛇ヤマカガシの目と言われる
    乳母川美女丸:人材派遣会社のボス
    <女のオークション>の立案者
草一郎:夜のビルの谷間を「母さん」さがして歩く
ナヨミ:キャバクラ「穴」にて売れっ子
    客の名に隠れた本当の名を読み当てる
朋ちゃん:喫茶店マドンナのホステス
    注文のコーヒーを耳の穴から出せる
カジモド:うるわしき男装の女ブロー力一
    脇の下に彫った入れ墨が商いの道決める
糸売り一:
    飾り窓ならぬアゴ出し女売りベニア窓の穴から、競売を待つ
糸売り二:負けずにアゴ出す
変な糸売り三:女を売る場所を皆去っても一人がんばる
    体を果てしなく使いたい
さらに五人の糸売り:個性ギラギラ
谷津先生:諏訪マタニティー・クリニックのフロンティア医師
湖村蚕:さすらいのお蚕伝説を一身に、ふらり東京にやってきた
    旧紡績工場の跡地小屋で、繭の番をしていた娘
    頼みのツナは糸の秘術で
繭玉一つ

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ブリリアントな新人登場の季節:堀切直人

「芝居のセりフを書くというのは案外むずかしいものだよ。
登場人物が相手に話しかけて、相手がどう応ずるか、その受け答の
ひと言如何で、ドラマが予想外の展開をしたりするんだ」
これは以前、唐十郎さんから伺った話のなかで、忘れられないものの
一つである。作中人物は作者の勝手なこしらえものではなく、作者の
コントロールできない生身をもって現に生きているというわけだ。

唐組の芝居を観る楽しみの一つは、新人俳優のブリリアントな
登場である。座長は毎年入団してくる新人たちに、むろんお説教など
垂れない。挑発的なひと言を投げつけて、そのあとどんなひと言や
表情が返ってくるか。その感性の絶妙なキャッチボールのなかで
作者は、個々の新人の肉体=無意識に眠っているキャラクターを
おのずと掘り起こしてくる。

私はこれまで、力のある新人が大挙して登場してきた季節を、
三度迎えている。
一度目は「桃太郎の母」「裏切りの街」のころで、桜井ひとみ、
金井、伊原、市倉など奇優怪優が輩出した。二度目はたった二日だけ
公演した「透明人間」の再演時で、これにもまったく驚かされた。
そして、昨年秋の「水中花」と今年一月の「赤い靴」の舞台に立ち
会って、私は数年ぶりにまた輝かしいシーズンがめぐってきたことを
感じた。三度目の大型新人は誰と誰か、その判断は観客個々にゆだね
よう。大不況下のハングリー・スポーツはまだ始まったばかりである。

http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---