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Date: Fri, 10 May 2002 14:42:39 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,01404] Kara-gumi plays New Work "Ito Joro" (May 10-12, 2002)
To: atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id: <49256BB5.001EF52A.00@david.arttowermito.or.jp>
X-Mail-Count: 01404
▼水戸芸術館ATM速報2002年5月10日発--------------------
当日券ございます!(Tel. 029-225-3555)
本日10日(金)より12日(日)までの劇団唐組 <新作> 水戸公演
「糸女郎」、水戸芸術館演劇部門学芸員・桜井琢郎による、作品を
よりお楽しみいただくためのご案内をお送りいたします。
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毎年恒例となった劇団唐組の水戸公演は、九五年の『裏切りの街』
より始まり、今年で十回目を迎えます。(公演記録でどうぞ。)
http://www.arttowermito.or.jp/play/karagumij.html
http://www.arttowermito.or.jp/play/yamij.html
毎回、唐十郎はその独特の想像力を喚起させる劇空間を、真っ紅な
テントのなかにつくりあげ、観客を現実と虚構の間に誘い込み、
抒情的な物語を展開させます。
今回の新作『糸女郎』は、長野県で実際に行われた「代理出産」を
モチーフに物語が紡ぎ出されています。
長野県岡谷市の紡績工場跡地にできた繭の納屋工場が川の氾濫に遭い、
大量の繭が流されてしまう。その日の夜勤中に、うたた寝をしていて
氾濫に気づかなかった女・湖村蚕は責任をとって町を去った。そして
人材派遣会社が開く怪しげな「女のオークション」に参加して工場
弁済のために代理母に志願するのだが..... 。
母と子の関係や母胎は、これまでの唐十郎の作品にたびたび出てくる
重要なモチーフのひとつですが、この作品では「糸と水晶」という
もうひとつのモチーフを提示することによって、物語を新たな局面へ
と向かわせます。それはまるでミステリーの謎が解き明かされる瞬間
にも似てスリリングな感じがします。
そしてこれらのモチーフによって形作られた物語の骨格に、観客が
体感しやすい言葉のイメージを肉付けすることで『糸女郎』という
物語を描いています。流麗な、それでいてどこか切なさを感じさせる
劇中のせりふは、この芝居を観る者に語られるせりふ以上のものを
想起させます。
例えば、長野県岡谷市という場所。かつて繁栄したはずの紡績工場は、
そこで働く戦中の女工の物悲しさをイメージさせます。繭の納屋工場
という言葉からは、蚕の命を犠牲にして「糸」を採る繭の幻想を。
そして戦後のクォーツ時計の開発により、再び産業の町・岡谷市を
復活させた救世主としての「水晶」のイメージ。
唐十郎はこれらの言葉から湧き出てくるイメージを、登場する「人物」
や「物」のキャラクターや役割にあてはめて、ヒロイン・湖村蚕の
まわりに徘徊させます。そして彼女がたどる運命をスペクタクルに
描き出し、物語の背骨を明確に観客につたえてきます。
岡谷市と工場の移り変わりの歴史、その工場で作られてきた物たちの
歩み、そして「代理出産」という事実。
一見して脈絡を欠くかに思えるこの連なりは、物語を形成する重要な
ファクターとして提示され、観客を物語の渦に巻き込んでしまいます。
先日、水戸芸術館で行なわれたインタビューで唐十郎はつぎのように
語っています。
「この作品の背景には、長野県という場所がもっている日本のフォー
クロア的な要素がある。代理出産という行為が長野県であったという
記事を読んだとき、僕はすぐに野麦峠の物語に代表される紡績工場や
女工が働く情景がふっと浮かんだ。そして蚕と代理母のイメージが
重なりあった瞬間に『糸女郎』の物語が産まれました。
さらに現地取材でクォーツ時計開発の経緯を聞いたり、その工場跡地
を見て、糸と水晶が結びついたんです」
出演は、作・演出の唐十郎を筆頭に、ACM劇場のプロデュース作品
にも客演した鳥山昌克、久保井研、稲荷卓央、藤井由紀をはじめと
する実力派ぞろいの唐組役者陣。そして昨年秋の『水中花』、
今年一月の『赤い靴』でデビューした唐組の新人たち。
五月十日(金)、十一日(土)、十二日(日)の三日間、芸術館広場
で繰り広げられる劇団唐組新作『糸女郎』にご期待下さい。
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1300/1376.html
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劇団唐組 <新作> 水戸公演 「糸女郎」 作・演出:唐十郎
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2002年5月10日(金)・11日(土)・12日(日)毎夕7時開演
会場:水戸芸術館広場特設紅テント(雨天決行)
料金:一般 3,000円、団体 2,700円(10各様以上)、学生 1,500円
館チケット予約センター Tel. 029-225-3555(9:30〜18:00)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---