これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date:  Sun, 30 Jun 2002 15:59:44 +0900
From:  tamamik@arttowermito.or.jp
Subject:  [atm-info,01430] Marie-Claire Alain Organ Recital
To:  atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id:  <49256BE8.002652F9.00@david.arttowermito.or.jp>
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▼水戸芸術館ATM速報2002年6月30日発--------------------

家族への愛、神への祈り

フランスのオルガニスト、 マリー=クレール・アランの演奏は、
「音の魔術師」と称えられる色彩感溢れる音色と、作品に対する
深い知識に裏打ちされた明快な解釈、流動的で美しく生き生きとした
リズム表現などにより、世界中の聴衆を魅了し続けている。

アランは「オルガンこそ心の叫びを伝える」と語る。
彼女の演奏を聴いていると、生きていることの切なさと喜びの感情が
湧きあがる。心が叫ばなくてはならないのは、きっと私たちが、
限られた生という宿命を負っているからだ。
私たちの存在は永遠ではない。

アランが大切にしているものに家族の絆がある。
ひとりひとりの生には限りがあるけれど、その命は親から子へと
受け継がれていく。だから家族の絆は、個々の儚い命をつなぎ、
永遠に近づくための、大切な繋がりである。
彼女は、自らの生涯にわたって、夭折した兄ジュアンの作品を演奏し
続けている。また、今回のプログラムでは、父アルベールの作品も
取り上げられる。アランは、これらの演奏を通して、
命の連鎖を見つめる。

限りある命をもつ私たちにとって、永遠への希求は、ときに神への
祈りとなる。パイプオルガンは、この永遠の象徴を讃えるために
生まれた楽器なのだ。アランが「オルガンこそ心の叫びを伝える」と
語る理由がここにある。
こうした教会音楽のジャンルで、彼女の琴線に触れ、今回演奏される
のは、フランス古典期のオルガン・ミサの集大成のひとつともいえる
グリニ作品、フランスの王室礼拝堂のオルガニストを務めた18世紀の
バルバートルの作品、そして、アランが献身的なほどに取り組み
3度もオルガン作品全集を録音している J.S.バッハの作品群。また、
宗教的作品ではないが、フランス近代楽派の開祖フランク作品の
根底にあるのも "祈り" に他ならない。あたかも天から降りそそぐ
光のように、荘厳に、豊麗にアランのオルガンが鳴り響く。

家族への愛、神への祈り -- アランが大切にしてきたものを、
彼女の音楽を通じて、私たちも共有する。......そして、「永遠」
というものの探究が始まる。

企画担当:中村晃(水戸芸術館音楽部門学芸員)

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マリー=クレール・アラン オルガン・リサイタル
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2002年10月28日[月]18:00開場・18:30開演
*当日は休館日ですが16:00に開館します。
会場:水戸芸術館エントランスホール
主催:財団法人 水戸市芸術振興財団

グリニ:オルガン曲集 第1巻「賛歌集」より
  <パンジェ・リングァ(歌え、舌よ)>(抜粋)
    テノールに定旋律を持つ4声の<パンジェ・リングァ>
    5声のフーガ
    前曲の賛歌のレシ
バルバートル:ノエル<陽気な羊飼いはどこへ行った>
J.S.バッハ:幻想曲 ト長調 BWV572
   コラール
     <おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け> BWV622
     <今ぞ喜べ、愛するキリスト者よ、こぞって> BWV734
     <バビロンの流れのほとりにて> BWV653
   前奏曲とフーガ イ短調 BWV543
フランク:前奏曲、フーガと変奏曲 ロ短調 作品18
A.アラン:スケルツォ ホ短調
J.アラン:ファンタジー 第1番
     ファンタジー 第2番
     ドリア旋法のコラール
     連祷

料金:(全席指定)A席3,500円・B席2,500円
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チケット発売:7月6日(土)
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・館エントランスホールチケットカウンター(9:30〜18:00、月曜休)
・館チケット予約センター Tel. 029-231-8000(9:30〜18:00、月曜休)
・ATM速報受信のお客様のご予約はメールでも承ります。(13:00〜)
mailto:ticket@arttowermito.or.jp
・MUSIC SHOP かわまた Tel. 029-226-0351
・ヤマハミュージック関東 Tel. 029-224-2861
・チケットぴあ Tel. 03-5237-9990
・CNプレイガイド Tel. 03-5802-9990

メールでのご予約は上記アドレス宛、発売日13時以降の、
館サーバ受信タイムスタンプとなるようお送りください。
ご予約のための様式(音楽・演劇共通)をお持ちでない方は、
お手数ですが、上記アドレスまで、事前にご請求ください。

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マリー=クレール・アラン MARIE-CLAIRE ALAIN

1926年、パリ近郊のサン=ジェルマン=アン=レーで生まれる。
作曲家でオルガニストの父アルベール・アラン、同じく作曲家・
オルガニストの兄ジュアン、作曲家・音楽学者の兄オリヴィエ、
そして二人の姉も優れた音楽家という恵まれた環境で育った。
44年にパリ音楽院に入学。マルセル・デュプレにオルガンを、
モリス・デュリュフレに和声学を、プレ=コサードに対位法を
師事して、50年に同校を卒業。以来、彼女の活動は、 コンサート、
教育、 レコーディングの三つの分野に大別される。
コンサート活動では、リサイタルおよびオーケストラとの共演で
世界中で2300回以上の演奏会を行っている。レパートリーは、
バロック以前から現代音楽までの4世紀にわたる。そして20世紀の
フランスのオルガン音楽はアランによって初演された作品が少なく
ない。

現在は、生地のサンジェルマン・アン・レ教会のオルガニストを
つとめるとともに、パリ市立高等音楽院で世界各国からの学生を教え、
さらに、音楽学者としても高く認められ世界各国からレクチャーに
招かれている。また、パリ地域圏音楽院でオルガニスト養成課程の
教授を務め、世界のオルガン・コンクールの審査員としても招かれて
いる。

レコーディングの分野でも、これまでに200枚以上のLP、60枚以上の
CDをリリースしている。
バッハ在世時代の "歴史的なオルガンを使う" という構想をもとに、
9年間にわたって3度目のバッハ全集録音を行っている。ほかに、
ブクステフーデ、ベーム、クープラン、ダカン、パッヘルベル、
メンデルスゾーン、C.フランク、J.アラン、そして協奏曲には
プーランク、ヘンデル、J.S.バッハ、ハイドン、モーツァルト、
ヴィヴァルディ、リストなどの作品を録音しており、これまでに
15のレコード大賞を受賞している。近年では、グリニの「オルガン
曲集 第1巻 讃歌集」が、 平成12年度(第38回)レコード・アカデミー
賞・音楽史部門に輝いている。また、兄ジュアン・アランの
2度目の全作品集となるCDが上下2巻で発売されている。

リューベック市からブクステフーデ賞、ブタペストからフランツ・
リスト賞、コペンハーゲンからレオニー・ソニング財団音楽賞、
デンマーク・ダンネブロー勲章を受けている。また、コロラド州立
大学、南メソジスト大学、ボストン音楽院、シベリウス・アカデミー
から名誉博士号を贈られている。フランスでは、レジオン・ドヌール
勲章、国家功労賞、国家芸術・文芸勲章を受けている。

http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---