これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date:  Fri, 12 Jul 2002 18:12:21 +0900
From:  tamamik@arttowermito.or.jp
Subject:  [atm-info,01438] A Secret Story on the "Entra Dance #15, SWAN LAKE" by Nagayama #2
To:  atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id:  <49256BF4.0032867B.00@david.arttowermito.or.jp>
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▼水戸芸術館ATM速報2002年7月12日発--------------------

「エントラ/スワンレイク」秘話その2
長山泰久(水戸芸術館演劇部門学芸員)

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「白鳥の湖」といえばもちろんバレエで、
しかもとても群舞がいいんである。
(同じく群舞が素晴らしい振り付けには「ジゼル」を挙げて
  いいと思う。)
ソリストがメロディなら群舞はハーモニー。
そして舞台の、作品の空気をつくるのはその群舞だ。と思う。

「エントラ」でも群舞をやりたい、というのが次の思いつきだった。
ジャニーズでも、あの消費者金融CMでも、
バレエでも宝塚でもミュージカルでも、
ジャニーズでも、「娘」でも、
ジャズダンスでも(あの消費者金融のCMでも)、
エアロでもラジオ体操でも、ヨサコイソーランでも、
大人数が同じ振り付けをで踊る、とか、ずらして踊る、
とかいうのは、「ある力」を持って見る者に迫ってくる。
これはダンスに限らないパフォーマンスの原則のひとつだ。

同時にその群舞の中でも各々の個性も失いたくはない。
つまり彼らだからできること、にしたい。
それは簡単ではないけれど、だからこそ、せめてそのくらいの
「つもり」はないと。

そもそも「エントランスで踊ってみる」は、
そのスタート時に関わっていたダンサーたちととにかく
「やってみる」というある「テキトーさ」「無謀さ」を
形にする場にしておこう、と始めたことだった。
だから「やってみる」は絶対にタイトルに残したかったのだ。
アイディアがあったら即やってみる。思いつかなければ
とことん考えてみる。
何かを創るってことは、ある日空から何かが落ちてくるように
「素敵なこと」が目の前に現れるのではなく、
自分の中から引っぱり出して形にして... ということの方に
近いんじゃないか、なんてことを話しながら、
自らに創造を課す、企画だった。
(それが15回も続くとは思わなかったけれども。)

ところで、この春から公立小中学校は原則として週5日間の
授業となった。
お休みとなった土日を両日とも稽古日として
今年の「子供演劇アカデミー」は始まった。
一年間通して稽古をして3月に卒業公演をする「総合コース」と、
およそ2ヶ月間で「現代ダンス」あるいは「朗読」について
稽古して修了発表をする「単科コース」。
まずは平松み紀が講師に加わって「現代ダンスコース」がスタート。
(「朗読コース」は秋にスタート予定。)

この「単科コース」を核にして、「総合コース」を加えて
「エントラで白鳥」をやってみよう。というのが
その次の思いつきだった。
そうなれば話は早い。いや、急がねばならない。
何せ2ヶ月間、20回足らずの稽古回数だ。
いままで人前で踊ったことがある人もない人もいる。
これまで「子劇」に参加したことがある人もない人もいる。
ただ「立つ」こと「歩く」ことを意識することから始めて、
それをエントランスという至近距離で無条件に見られる場所で
発表する、そのためには、
本当はじっくり積み重ねなければならないことを
大急ぎで身体に入れていく。
もちろん最初はなかなか入らない。
けれども、そこは「子供」。「まだ途上の人間」。
途上であるからこそ、ひとつきっかけがあれば
スルスルと飲み込んでいく。
(もちろん個人差アリ。苦笑。)
時間さえあれば、といいながら、
ある日時までにあるクオリティにするのがこういうものだ。
頑張るしかないし、
最終的に我々は出演する子供達に、頑張れ、と応援するしかない。
ほんとうに他人が誰かにしてあげられることは応援なのだ、と
急に哲学的になったりしながら。

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ACMダンス企画エントランスで踊ってみる15『SWAN LAKE』
7月14日(日) 17:00 入場無料
http://www.arttowermito.or.jp/play/p14nendoj.html#edance15

http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---