これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date: Sat, 25 Sep 2004 18:03:30 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,01848] Winners, the 8th Mito Short Film Festival
To: atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id: <49256F1A.0031C2FD.00@david.arttowermito.or.jp>
X-Mail-Count: 01848

▼水戸芸術館ATM速報2004年9月25日発--------------------

第8回水戸短編映像祭の審査結果をお知らせいたします。


グランプリ:該当なし

準グランプリ:
「月は夜空に花は根に」田中智章
「クロール」平田陽亮
「田園の阿呆」永見昌弘

ケイブフィルムズ特別賞:「トマトジュース」齋藤孝

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「月は夜空に花は根に」(2004年/DV/28分)準グランプリ
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  田舎での役所勤めを辞め、東京で作家を目指している月子(29)は
  苛立っていた。数日前より田舎から部屋探しの為、妹の花恵(23)
  が居候しているのだ。執筆もはかどらず、現行の持ちこみでも
  編集者に酷評される。自信をなくしつつある月子。最近は警備員の
  バイトと部屋の往復の生活で、孤独感に苛まれる事が多くなって
  いた。「本当はもっと普通に生活したいのではないか..... 」
  いずれ結婚し、いわゆる「ふつう」の女の道を歩み行くであろう、
  妹をそばで見ていて一層その思いは強くなった。そんなある日、
  月子は花恵が男と産婦人科より出てくるところを目撃してしまう。
  ついに月子は自らの劣等感と、溜めていた鬱憤を爆発させる..... 。
  互いに認め合っているのに、一緒にいるとついいがみ合ってしまう
  ..... 。そんな姉妹の微妙な距離感と、彼女達の「孤独」を描いた
  物語。

  田中智章(たなかともふみ)
  1976年8月13日、鹿児島県生まれ大阪育ち。
  関西大学社会学部マスコミュニケーション専攻卒業。
  超氷河期といわれる就職難に遭遇。ならばとことん自分の好きな
  世界を、と本格的に映画制作の道を志す。シナリオセンター大阪校
  基礎科卒業後、映画制作を続け、2003年、脚本「輪廻の滝」で伊参
  映画祭シナリオ大賞、審査員奨励賞受賞。

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「クロール」(2003年/16mm/24分)準グランプリ
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  高橋凌は高校3年生。水泳部に所属しているがやる気はない。
  大会にも出ず、気の向くまま、誰もいない学校のプールで泳ぐのが
  日課だ。
  父は3年前に他界し、母と祖父、愛亀のゴン吉と田舎町に穏やかに
  暮らしている。
  高校最後の夏休み、凌は親友の平八郎と、平八郎の恋人いつきと
  3人で海に行く。無邪気に戯れる3人。海に飛び込んでいく平八郎を
  眺めながら、いつきは凌に病気のため東京に行かなければならない
  ことを告白する。動揺する凌。3人の心地よい夏に終わりが迫ろうと
  していた..... 。
  クロールをかく指先が奏でる水の音。遠くで聞こえる波のサウンド。
  年一回の花火大会。静かに、ただ静かに流れる時の中での、
  穏やかな人と人との別れと感情の揺れを描く。

  平田陽亮(ひらたようすけ)
  1979年、東京都出身。
  1999年、日本大学芸術学部映画科監督コース入学後、ビデオ、8ミリ、
  16ミリで短編を制作。「クロール」は卒業制作作品。卒業後、
 「新・刑事まつり〜ルーキー刑事〜」(戸田昌宏監督)、
 「ロス・タイム・ライフ」(筧昌也監督)、「臭いものには蓋の日」
 (三木聡監督)、「トーリ」(浅野忠信監督)に制作として参加。
  2004年7月、
  テオ・アンゲロプロス映画祭のデスクを務める。

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「田園の阿呆」(2003年/DV/35分)準グランプリ
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  8歳の夏休み、何をしていましたか?何を見ていましたか?
  あの臭いを覚えていますか?もがく亀、死んでいく虫、
  倒れたかかし、広すぎる田園。
  暑いのにどこかさみしいような不思議な夏..... 。
  多感な変態を隠し持つ小太郎(8歳)は、ひどく教育熱心な母親
  (幸恵)といつももつれた糸をいじくっている父親(修治)に
  連れられ、田舎に住むおじいさんの家に行きます。おじいさんは
  粗野だが不思議な魅力をたたえていました。小太郎はドキドキ
  します。しかし、母さんはおじいさんに嫌悪感を示し、小太郎にも
  それを強いるのです。父さんはどこかへ行ってしまいます。感情を
  抑えられない小太郎を許さない母さんは小太郎を木箱に閉じ込め
  ます。正しいのは母さんと自分を否定する小太郎。しかし、
  広すぎる田園とおじいさんの不思議な存在感が小太郎を少しずつ
  解放していくのでした..... 。こんな夏、あったような、なかった
  ような。におうような、におわないような..... 。

  永見昌弘(ながみまさひろ)
  1981年茨城県生まれ。生後すぐ高熱を出し、保育園の頃にはトイレ
  にこもりがちになりストレスから髪の毛が脱毛する。5歳のとき
  家中にマヨネーズをまく。母親に連れられ精神科に通いはじめる。
  開き直る。友人達に自分で考えた物語を語って聞かせる。生き生き
  するようになるが無視される。嗅覚がひどく衰える。おばあさんの
  観察日記をつけはじめる。よく笑うようになる。大学を中退し、
  趣味として絵日記をつける。映画を撮り始める。

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「トマトジュース」(2004年/DV/33分)ケイブフィルムズ特別賞
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  好んでは受け入れたくないものを受け入れようとしたとき、
  少し成長した自分がいる。複雑な気持ち、苦い思い出、
  甘くないトマトジュース -- 。
  石堂家はいつもと違う朝を迎えていた。姉の結婚相手(亮輔)が
  挨拶に来るのだ。浮かれる母に緊張気味な父。妹(麻美)は幸せ
  そうにトマトジュースを飲む姉を複雑な気持ちで見つめていた。
  7年前、高校時代。麻美と亮輔は同級生だった。そして2人は
  付き合っていた。ほんの短い、大した付き合いではなかったが、
  このことを姉は知らない..... 。
  姉への、亮輔への、家族への様々な気持ちが交錯する中、
  姉の結婚相手としての亮輔との再会 -- 。
  どこかぎこちない素振りの麻美に対し、亮輔はどこ吹く風。
  『きれいになって』などと、どこか素っ気ない。動揺し、
  その場にいてもたってもいられなくなってしまった麻美は
  『泡盛を買いに行く』と家を出て行ってしまうのだが..... 。

  齋藤孝(さいとうたかし)
  2002年夏、自主制作を開始。第1作『まだ、あたたかい』が
  “YAHOO!ショートムーヴィー映画祭”に選出される。その後、
  2作目『コーヒーの飲みかた』、3作目『東京』、4作目『M』と
  映画祭には出品しなかったものの、役者やタレント事務所で高い
  評価を受け、本作『トマトジュース』を制作するに至った。
  6作目『白い鳥』はスカイパーフェクトTVで放送された。

http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---