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Date: Tue, 14 Dec 2004 19:40:58 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,01890] Experimental Dance Performance "kaleidoscope"
To: atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id: <49256F6A.003AAF11.00@david.arttowermito.or.jp>
X-Mail-Count: 01890
▼水戸芸術館ATM速報2004年12月14日発----------------
「万華鏡の中の変わり続ける小さな世界は、
私たち 4人が狭いエリアの中で踊ることにも通じていて、
ダンサーが色の付いた小さな粒みたいに動き続けるイメージ
なんです。」(高橋明子)
ダンスを創る動機と過程について、ダンサーへのインタビュー記事を
お届けします。この週末、次は言葉から独り立ちしたダンスをどうぞ。
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質問:今回の「エントランスで踊ってみる18」のタイトル
『kaleidoscope (万華鏡) 』に決めたきっかけは
何だったのでしょうか?
高橋:最初から作品のタイトルに『kaleidoscope (万華鏡) 』を
思いついたわけではなく、冬の寒い時期の公演ということで
何か「色」が欲しいなという発想からスタートしました。
もともと色の付いた紙や布に興味はあるのだけれど、それらを
どうやってダンスに結び付けていくかと考えると難しいですよね。
色について辞書やインターネットで調べていくうちに万華鏡の
サイトに出会い、次々と姿かたちを変える小さな世界は私たちの
踊る身体や感覚とか感情にも通じると思ったのが、タイトルに
たどり着くまでの道筋です。
質問:?橋さんはこれまでの「エントランスで踊ってみる」に数多く
出演していますよね。今回は踊るのみならず作品をつくる立場も
担うわけですが、自分の中で変化はありますか?
高橋:やはり守備範囲を広げることと客観的に全体を把握する力が
必要になってくると思います。作品に出演する時は、自分の中での
課題やテーマを設定して集中していくことになりますので、
責任のあり方が全然違ってきますよね。
この作品は私を含めて 4人のダンサーが出演しますが、各個人が
設定した課題やテーマから生み出されたものを吸い上げて、
そのまま活かすか料理して再構成するかを考えることになります。
作品をつくるときに、単純なものをどれだけ複雑にしていけるか、
またその逆もと考えますが、アイデアをすぐかたちに出来るか
というと、そう簡単に上手く行かない。だけど、深めて検証して
いかないとそのアイデアが良いのかどうかも分からない。
いろんな入口をみんなにぶつけて返ってきたものを私の中で消化
するという往復の作業がありますね。ひとつの完成形に向かって
いくまでにはいろんな道筋があるんだなと、最近は実感しています。
質問:エントランスホールで上演することに対して心がけていること
はありますか?
高橋:今回はエントランスホールの全体ではなく、部分的に使うこと
になりますので、また違ったものになるのではないかと思います。
一方向に正面があるわけではないのですが、つくっているといつの
間にか正面を設定してしまっているんです。自分にとっての正面や
背後を意識しても、そうではない角度から観客が観ることになるの
で、常にスキをつくらないようにしなければならない。どこも正面
になり得るし、背景になり得るというのが、劇場と大きく異なる点
ですが、それについていくのが思考的にも身体的にも大変です(笑)。
空間全体から観客に観られている感覚を楽しめるようになったら
理想的ですね。
質問:?橋さんは自分以外の3名のダンサーたちと一緒に踊ることが
多かったと思いますが、ダンサーたちへの注文や課題、期待など
ありますか?
高橋:とてもたくさんあります(笑)。
今まで同じ作品で踊っていながらも、一緒に創作活動をしている
ことがあまりなかったように思うので、このメンバーで新しい
可能性を探っています。クリエイションは、相手に対しての印象や
どういう踊りをしているのか、あるいは自分自身の現在の課題に
ついてお互いに話し合うことからスタートしました。
そこから作品への手がかりとなることを拾い上げています。
クリエイションを進めるにつれて、4人は踊り方・感覚・動きの質
など、まったく違うことに気づきました。そこで、自分とは違う
感覚を取り入れて踊ってみることに4人とも挑戦しています。
自分の持ち味を活かしつつ新たな何かを少しでも獲得するといっても
いいでしょうか。また、一緒にリズムや空気を共有して踊るという
ことにも改めて向かっています。これらはダンサーの内面で起きて
いることでもありますが、同時に外側でもそれぞれのエネルギーを
感じてもらえたらいいなと思います。
質問:現在、どのような作品が出来上がりつつありますか?
高橋:万華鏡は動かすことによって見えている世界が変るし、
予想の出来ない新しい模様が生まれてきますよね。私たちの意識も
踊る身体もそうあって欲しいなと思います。
一人一人の世界が独自の色と模様を持った万華鏡だと感じています。
また、万華鏡の中の変わり続ける小さな世界は、私たち 4人が狭い
エリアの中で踊ることにも通じていて、ダンサーが色の付いた
小さな粒みたいに動き続けるイメージなんです。でも、ただ綺麗な
だけではないものにしていきたいと思っています。ダンサーたちが
動き始めたら止まらない勢いや、質感やリズムの変化によって、
観ている人たちにも何らかの影響を与えて同調できる瞬間を
見つけていただけたら嬉しいですね。
どうぞご期待ください。
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「エントランスで踊ってみる18」『kaleidoscope(万華鏡)』
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日時:2004年12月19日(日)15時開演/18時開演
会場:水戸芸術館エントランスホール/入場無料
振付・出演:高橋明子(ACM劇場専属舞踊家)
出演:金田光代、深澤南土実、倉内亜貴野
http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---