これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date: Wed, 23 Mar 2005 21:47:31 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,01931] Special essay on "ATM ENSEMBLE 20th Concert" by Takaki Yazawa
To: atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id: <49256FCD.00464509.00@david.arttowermito.or.jp>
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▼水戸芸術館ATM速報2005年3月23日発------------------

ATMアンサンブル第20回演奏会
(vivoに書ききれなかった)ここが聴きどころ!by担当者

ATMアンサンブルの演奏会は現在 1年に 1回のペースなので、
50回、60回と演奏回数を重ねてゆく水戸室内管弦楽団にはとうてい
及びませんが、それでも来る 3月26日の演奏会で、一度のメンバー・
チェンジもなく20回目の演奏会を迎えることができました。
これも皆様のおかげと感謝しております。

さてちらしのプロフィールにもあるとおり、
「室内楽の新たな愉しみと可能性を追求する旅」を続けてきた
ATMアンサンブル。
特にここ数年はブルックナーの交響曲やヤナーチェク特集など、
室内楽の限界に挑戦するプログラムが続いてきました。

20回目を迎える今回は、記念プログラムということもあり、
久々に室内楽の名曲の定番といえる3曲、
ハイドンの弦楽四重奏曲<ひばり>、シューマンのピアノ五重奏曲、
ブラームスの弦楽六重奏曲<アガーテ>を並べてお届けします。
シューマンのピアノ五重奏曲とブラームスの弦楽六重奏曲は
これまでATMアンサンブル演奏会で取り上げられたことのある曲目
ですが、vivoにも書いたとおり<ひばり>はATMアンサンブル
および水戸カルテットでは意外にもまだ取り上げられたことの
なかった作品です。

さて、今週末に迫ってまいりました演奏会。
ここでは、vivoでは書ききれなかった今回の聴きどころを、
いくつかピックアップしてお伝えしたいと思います。

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1.やっぱり田部京子さん
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なんといっても今回の話題は、ゲストの田部京子さんでしょう。
人気・実力を兼ね備えたこのピアニストがATMアンサンブルと共演
するのは初めて。それどころか、芸術館に登場するのも初めてです。
この方、周囲をねじふせるようなコワモテな感じは少しもなく、
その代わり曲への静かで深い共感が伝わってくるのが素敵ですね。
シューベルトの録音の評価が高いですが、じっさい、深層心理に
踏み込むようなダークなシューベルト演奏が目立つ昨今(それはそれ
ですごいと思うのですが)、むしろシューベルトを闇から救い出す
ような優しい共感を備えた演奏がとても印象的です。
今回はシューマンですが、さてどんな演奏になることか?
個人的には、シューマン本人のとり憑かれたような熱狂ぶりではなく、
それを暖かく受け止め包み込む妻クララ・シューマンの大きな優しさ
を感じさせる演奏になるのでは、という気もします。でもまあ、これ
はわかりません。逆に「燃える田部さん」が聴けるかも?
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2.メンバーの女性陣も負けてはいません
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田部さん、加藤さん、小林さんと、麗しき3人の女性の揃い踏みと
なる今回の演奏会。ATMアンサンブルメンバーの女性陣も負けては
おりません。まず<ひばり>では小林美恵さんがトップを務めます。
vivoでは「水戸ではじめて」と書きましたが、これは正確ではなか
ったですね。1999年の3月に行われた第14回演奏会で、ピアソラの
<タンゴのための4人>のトップを弾かれています。またATMでは
ありませんが、今年1月のニュー・イヤー・コンサートでは、
バーバーの<弦楽四重奏のためのアダージョ>でトップを弾かれたの
も記憶に新しいところです。しかし、四重奏以上で多楽章からなる
作品のトップは、この<ひばり>が初めてです(三重奏ではけっこう
あります)。弦楽四重奏の奥義を極めた原田幸一郎さんのトップは
もちろんすばらしいのですが、第一ヴァイオリンがまさにひばりの
ごとく舞うこの弦楽四重奏曲を、小林さんのトップで聴くことが
できるのは楽しみです。
一方加藤知子さんはブラームスの弦楽六重奏曲でトップを務めます。
加藤さんは五重奏、六重奏の作品でしばしばトップを務めますが、
アンサンブルに独特の華やかな「艶」が加わるのが素敵ですね。
ブラームスの六重奏はいわばATMの十八番ですし、15年を経て熟成
したアンサンブルをたっぷり愉しませてくれることでしょう。
というわけで今回のコンサートは女性が主役、男性陣は女性たちを
バックでしっかり支える側に回ります。とはいえ通なファンの方なら
原田さんがヴィオラも弾くことに注目されるでしょうし、水戸室内
管弦楽団にもゲスト出演している佐々木亮さんのヴィオラもこれまた
聴き逃せません。また、弦楽六重奏曲は2001年の第16回演奏会以来
(レーガーの弦楽六重奏曲。このときは先日逝去された園田高弘さん
との共演でした)となり、久々に毛利伯郎さんと上村昇さんの
双頭チェロが聴けるのも楽しみですね。
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3.今回のプログラム(パンフレット)は超プレミアム必至!
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今回20回目ということで過去のデータを引っかき回していたのですが、
そうしているうちに、「よし、過去のデータを集成した演奏記録を
プログラムに掲載しよう!」と思いつきました。スタッフの中崎に
曲目等の膨大なデータをまとめてもらい、各演奏会へ矢澤がひと口
コメントをつけた、開館以来の演奏会データが、今回のプログラムに
は掲載されています。ATMファン必見のプレミアム・プログラム!
演奏会にいらっしゃった方のみ無料でさしあげる永久(&A級)保存
版でございます。ぜひお楽しみに。

そのほか、恒例ENDOによるワイン(もしくはソフトドリンク)・
サーヴィスもございますし、コンサート自体にも驚きの仕掛けもある
かもしれません(アンコールあたりに... まあこれはどうなるか、
秘密というか未定というか... むにゃむにゃ)。

ともあれ、20回目であり一期一会となるこのコンサート、
耳に心地よく目にも麗しいこの一宵、
ぜひとも多くの方々においでいただきたい気持ちです。
よいお席はだんだん少なくなっております。
さあ、この速報をご覧になったらチケットセンターにお問い合わせ
ください!(朝 9時30分から夕方6時まで営業いたしております。)

もちろん芸術館ホームページからも(公演前日の25日18時または
完売まで24時間)チケットをお買いいただけます。
https://www.arttowermito.or.jp/t/authenticate.cgi

お待ちしております!

担当:矢澤孝樹(水戸芸術館音楽部門主任学芸員)

"vivo" 最新号は下記からご覧いただけます。
http://www.arttowermito.or.jp/nettama/nettamaj.html

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ATMアンサンブル第20回演奏会
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http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1800/1896.html
2005年3月26日(土)18:30開演(18:00開場)
水戸芸術館コンサートホールATM
ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調 作品64の5 Hob.III--63 <ひばり>
          小林美恵、原田幸一郎(ヴァイオリン)、
          佐々木 亮(ヴィオラ、ゲスト)、毛利伯郎(チェロ)
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44
          田部京子(ピアノ、ゲスト)、
          原田幸一郎、小林美恵(ヴァイオリン)、
          佐々木 亮(ヴィオラ)、上村 昇(チェロ)
ブラームス:弦楽六重奏曲 第2番 ト長調 作品36 <アガーテ>
          加藤知子、小林美恵(ヴァイオリン)、
          原田幸一郎、佐々木 亮(ヴィオラ)、
          毛利伯郎、上村 昇(チェロ)

主催:財団法人 水戸市芸術振興財団
協賛:株式会社 中川製作所
協力:ホテル ステノ
-- 音のディナーを、ワインと共に --
ご来場の方に、漏れなくワインもしくはソフトドリンク一杯を
サーヴィスいたします(チケットの半券をご提示ください)。
料金(全席指定):A席3,500円・B席2,500円

http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---