これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date: Mon, 2 May 2005 10:32:19 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,01946] "Babar" info
To: atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id: <49256FF5.00087406.00@david.arttowermito.or.jp>
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▼水戸芸術館ATM速報2005年5月2日発--------------------

明日 5月 3日(火・祝)、コンサートホールATMでは
『音楽物語・ぞうのババール』が行われますが、それに先立ち
小田急百貨店新宿店で行われている『ぞうのババールの世界』展に
行ってまいりました。

これは別に芸術館と連動した企画ではないのですが、ババール
「生誕」75周年を記念して行われた企画で、実にいいタイミングで
芸術館の企画とシンクロすることになりました。
会場では絵本の原画やスケッチの数々、戦前に日本で訳されていた
ババール本(ババールの名が「バアバアワウ」とかになっている)
など、貴重な資料が目白押し。アニメ版ババールやババール誕生の
ドキュメンタリー・ヴィデオが流れるなど、ババールファンには
こたえられない内容でした。プーランクの<ぞうのババール>の
楽譜もありました。

この展覧会で知ったこともたくさんあります(担当者としては不覚
だったのですが)。オリジナル・ババールの生みの親ジャン・ド・
ブリュノフは印象派の画家だったということ。
最初の物語は、ジャンの奥さんが4歳と5歳の息子に語って聞かせた
話に基づいているとのこと(奥様は、控えめなことに共著者の
クレジットを固辞されたそうです。2003年に亡くなられました)。
息子から「ママンがこんなおもしろい話を聞かせてくれたよ」と
子供たちに話を聞かされたジャンが、私家版の絵本にしたのが、
ババールの始まりだったとのこと(私家版絵本の展示もありました)。
シリーズを5冊書いて(番外編『さるのゼフィール』を含めれば6冊)
わずか37歳で死去したジャンですが、最後の2冊『ババールのこども
たち』『ババールとサンタクロース』は彩色できないままに終わり、
彩色は息子ロランが行ったとのこと。そして、ロランの引き継いだ
『ババール』のシリーズは、現在までに30冊を超え、いまなお新作が
書き続けられています(故・矢川澄子さんの日本語訳で出ている
ロラン版ババールは5冊)。

最新刊、『ババールと美術館』が会場に展示されていました。
ババール一家および王国の構成は『ババールのサンタクロース』
当時とほとんど変わらず、ロランはやはりある時点で彼らの成長を
ストップさせ、「永遠の生」を与えたようです。
お話は、王様ババールがぞうの街セレストビルのさびれた駅を
美術館にして再生させようとするもの。
オープニングの日にババール一家は展覧会を見学に出かけますが、
古今の名画が、構図はそのままに、登場人物が全部ぞうになって
いるという愉快な仕掛けです。
ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』からドラクロアの『民衆を
率いる自由の女神』、ゴッホの自画像(あの包帯巻いた自画像)、
ムンクの『叫び』、ピカソの『アヴィニョンの娘たち』、さらには
ダ・ヴィンチ、ゴヤ、スーラ、ルソー、セザンヌ、ダリ、マグリット
等々、古今の名画がみんなぞうなのですからたまりません。

子供たちの素朴で直球な質問、コルネリウス老(ご健在でしたか...
嬉しい限りです)のもったいぶった講釈と笑いどころのツボも
たくさん。画家だった父親へのオマージュともいえるこの新作、
まぎれもない傑作だといえるでしょう。
さいわい、この作品は評論社から邦訳が出たばかりです(せなあいこ
さんの訳)。ちなみに展覧会は 5月 5日(木・祝)まで開催されて
います。休日なし、10:00から20:00まで同百貨店で開かれています
が、最終日は16:00に閉場だそうですのでご注意を。入場料が100円
引きになるチラシも芸術館のチケットカウンターに置かれています。
GW中に水戸芸術館のババールとあわせていかがでしょうか。

というわけで生誕75周年を迎えるババール。
プーランクがたった 1作、最初の物語『ぞうのババール』につけた
音楽の輝きを、高橋アキさんのピアノと長野羊奈子さんの朗読、
スクリーンに投射される絵本の映像(「第3の演奏者」として
映像操作を行うのは私どものスタッフ馬場)の三位一体でお楽しみ
いただく水戸芸術館の『音楽物語・ぞうのババール』、おとなも
こどもも皆さんご一緒にお楽しみください!

担当:矢澤孝樹(水戸芸術館音楽部門主任学芸員)

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音楽物語  ぞうのババール
原作:ジャン・ド・ブリュノフ/訳:矢川澄子
作曲:フランシス・プーランク
出演:高橋アキ(ピアノ)/長野羊奈子(語り)
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2005年 5月 3日(火・祝)14:00開演(13:30開場)休憩なし、約50分
水戸芸術館コンサートホールATM
料金(全席自由):大人1,500円/小人(3歳以上12歳以下)1,000円
*この公演にご入場になれるお子様は 3歳からとさせていただきます。
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1900/1915.html

本日 5月 2日(月)は休館させていただいておりますが、
下記、館サイト内「ATM速報受信のお客さま専用」メニューから
本日18時までご予約を承っております。ぜひご利用ください。
館サイトからババールを本日18時までにご予約の際の、
チケットのお引き取り方法は「窓口」をお選びください。
明日公演当日のご精算とさせていただきます。

公演当日の明日 3日は、朝 9時30分より、お電話でのみ、当日券の
ご予約を承ります。
館チケット予約センター Tel. 029-231-8000(9:30〜)

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現代美術ギャラリーでは「造形集団 海洋堂の軌跡」展もおかげさま
で大盛況開催中です。大人気「食玩」販売中の館内ショップも、大変
混み合っており恐縮ですが、あわせてぜひお立ち寄りください。
展覧会は中学生以下・65歳以上・各種障害者手帳をお持ちのお客様は
無料でご入場いただけます。
http://www.arttowermito.or.jp/kaiyodo/kaiyodoj.html

みなさまのご来館をお待ち申し上げております。

http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---