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Date: Sun, 17 Jul 2005 14:56:01 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,01981] Special report #1 on "La Cucaracha" by Takuro Sakurai, Producer, ACM Theatre
To: atm-info@arttowermito.or.jp
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▼水戸芸術館ATM速報2005年7月17日発 -------------------
6月3日の日本の劇作家たち3『北京の幽霊』の初日に、ダンス・
パートの稽古からスタートした今回の『ラ・クカラチャ』は、
通常行なわれる「顔合わせ」をせずにスタートしました。
『北京の幽霊』に出演していた紺谷昌充君が、全公演終了後に参加。
劇中で展開されるダンス・パートの稽古を、長谷川裕久が振り付け
ながら、台本を書きつつ、芝居の内容を説明しつつ、
唐組の鳥山昌克さん、稲荷卓央さんの合流を待つ、
こんな感じの稽古が6月中旬まで。
唐組『鉛の兵隊』が6月19日に楽日を迎えて・・・
6月27日の月曜日、ついに唐組の鳥山昌克さん、稲荷卓央さんが、
『ラ・クカラチャ』の稽古に参加しました。
台本は、三分の二ほど渡されていて、「読み合わせ」が始まり
ました(その模様はホームページに写真が掲載されています)。
*下記ページの「稽古場スナップ」をご参照ください。
(撮影はこの文を書いている桜井学芸員です。)
http://www.arttowermito.or.jp/lacucaracha/lacucaj.html
すでに戯曲化されている作品の稽古を、たとえばシェイクスピアや
モリエールなどの古典や現代演劇の再演のための稽古をするのと
違って、書き下ろしの新作を稽古する場合、入念な「読み合わせ」と
「話し合い」が必要になってきます。
少なくとも長谷川裕久の現場では、この「話し合い」が非常に重要で
あって、立ち稽古に入る前には必ず、相当の時間をとって行なわれ
ます。というのも、今回の『ラ・クカラチャ』でもそうですが、
長谷川裕久が自身の作品の背景に、必ずといっていいほど日本の歴史、
とりわけ幕末から明治、そして戦後にかけて起こった事象をモチーフ
にとっていることがあげられます。このへんの歴史認識や、考え方、
そしてそこから何を舞台で見てもらいたいのか、それを役者と共有
するための時間と考えてもらっていいと思います。そこへ、その
歴史に登場する人物たち、芝居の登場人物たちですが、彼らのキャラ
クターを、シーンごとに形象化していく作業を行なって、ようやく
立ち稽古となるのです。この間、約一週間。途中で宣伝写真(ホーム
ページに掲載されています)の撮影を入れて・・・
*下記より佐川智伯(Photo Style)氏撮影の3枚をご参照ください。
http://www.arttowermito.or.jp/lacucaracha/lacucaj.html
7月4日、ついに残り三分の一の台本が渡され、本格的に立ち稽古が
スタート。6月の上旬に、すでに、舞台スタッフと話しあっていた
舞台イメージを、今度は具体的に、その仕様について明確にしていき、
本格的な準備にとりかかりました。役者たちは、台詞を覚えつつ、
立ち、そして悩み、時には再び話し合い、
そんな時間が過ぎてゆく・・・
7月11日の朝、稽古は休みの日。私と長谷川は、東京の劇団唐組
アトリエに向かっていました。カメラマンの佐川氏と一緒に。
公演パンフレットに掲載する、唐十郎氏と長谷川裕久の対談を収録
するために。この日は午後2時の約束でアトリエへ。8月の試演会の
ための稽古をやっていました。唐十郎さんは、長谷川が本格的に劇作
をするようになった96年頃からの作品をすべて観ていただいています。
この対談では、『美貌の流星』から今回の『ラ・クカラチャ』に
いたるまでの長谷川裕久の劇作法について、演出法、劇作家と演出家
との関係、そして俳優と観客についてなど、自身の作品の創作過程を
振り返りながら、語っていただけました。劇作家どうしの、貴重な
対談を収録することができ、たいへん感激しております。
以下、その対談の一部を掲載します。
これまでの長谷川作品について喋ってきた唐さんが、今回の『ラ・
クカラチャ』について言及してきて・・・
唐:でも、今度はメキシコでしょう。新選組の残党でしょう。
長谷川:ええ。土方が亡くなった後に相馬主計っていう最後の隊長が
いまして、水戸の隣の笠間藩出身なんだそうですけど。
土方が亡くなって五稜郭がもうこれまでという時に、戦後処理の
ために頭になった人間、そんな人物です。
唐:その男は五稜郭にも参加してるの?
長谷川:参加してます。
唐:残党ですね。
長谷川:生き残り組ですね。
唐:その男が北海道のもっと奥地まで逃げ延びたってんじゃ
なくて・・・・・・、
長谷川:戦争が終わって政府軍に捕らえられて、新島に流された
らしいんです。そこで寺子屋かなんかやって子供を教えて、
それで二年ぐらいで赦免され東京に戻ってきたところで、
切腹してしまうんです。ちょっと不思議な人なんですけど。
唐:その男を誰が演じるの?
長谷川:稲荷さん。
唐:稲荷が演じるの! あの網走の男が。楽しみだね。
僕は、稲荷は先祖辿っていくと、新選組の残党じゃないかと
思ってるの。相馬主計、その男の頭のなかのいろんな想念の
ゆらめきみたいなものが、窓口になるわけね、お客としては。
長谷川:それと鳥山さんの演じる外交官の役がそうですね。
自分が、榎本武揚以来ずっと外国を見てきた日本人なんだ、
というような妄想の男ですね。
設定としては、相馬主計の息子が新選組の残党と一緒にアメリカに
渡って、メキシコ革命に巻き込まれたらどうなるのか、そんな感じ
です。
唐:その息子が出てくるわけですね。
長谷川:その相馬主計と息子を稲荷さんが一人二役でや演ります。
辿っていくと自分が親になるというね。
唐:そういう役は初めてだね、稲荷は。
長谷川:外交官の鳥山さんも自分の記憶を辿っていくと、榎本武揚に
なって、五稜郭で二人で話をするというような。
書くまで、メキシコ、メキシコと思ってたんですけど、
実際書いてみると、メキシコというよりは、
やっぱり日本が舞台になっていく。日本というものを際立たせる
装置として、メキシコを選んでいたのかと思ったりして・・・・・。
メキシコを完全に描ききるということはできないですよね。
日本を描くバックグラウンドがメキシコだったりすると、
違うものが見えてくる気はしました。
以上。ほんの一部です。
この対談は、公演当日、入場するお客様に、無料で配布させていただく
公演パンフレットに、すべて掲載されます。
400字詰め原稿用紙約25枚分の対談です。ぜひ読んでください。
次回は、『ラ・クカラチャ』の物語と登場人物について、
「稽古場から」ご報告させていただきます。
本番まで、もう少し。ぜひ、観に来てくださいね。
それでは、また・・・
「『ラ・クカラチャ』稽古場から 1」
水戸芸術館演劇部門学芸員 桜井琢郎
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暑い季節、無法者たちにまみれながら、
新しく到来する時代に立ち会おうとした異邦人たち。
その軌跡を描きだした感動の青春物語。
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ACM劇場プロデュース <現代劇作家の新作>
『La Cucaracha ラ・クカラチャ―ゴキブリの歌』
作・演出:長谷川裕久
平成17年度文化庁芸術拠点形成事業
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2005年 7月29日(金)19:00開演
2005年 7月30日(土)14:00開演/19:00開演(2回公演)
2005年 7月31日(日)14:00開演
料金(全席自由): 一般 2,500円/学生 1,500円
ATM速報受信のお客様のご予約は、下記より24時間無休で承ります。
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または日本語トップページ
「ATM速報受信のお客さま専用」メニューからどうぞ。
*友の会会員様へ:ただいまは「特典」をご利用いただける
期間ではございませんので、上記ご予約メニューのご利用に
会員番号のご入力は要りません。ATM速報受信のアドレスのみ
ご入力ください。
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昨日の更新で、MCO大スクリーンコンサートの当日いつきましての
ご案内を追加いたしました。ご利用いただければ幸いです。
http://www.arttowermito.or.jp/music/mco05senbaj.html
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