これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date: Thu, 1 Dec 2005 13:08:43 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,02042] SAYAKA Special #2 by Yazawa
To: atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id: <492570CA.0016C582.00@david.arttowermito.or.jp>
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▼水戸芸術館ATM速報2005年12月1日発 (その 1)--------

企画に懸ける情熱の、熱々のところをもう 1通、
ご一緒いただければ光栄です。

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一昨日11月29日会場のサントリーホールはほぼ満席。
そこに現れたピンクのドレスの庄司紗矢香は、
これからの2時間少々の舞台を思い切り楽しみつくそうという、
期待と自信にあふれた堂々たる表情をしていました。
彼女よりもずっと大きなイタマール・ゴランにも負けないくらい、
「大きく」見えました。なんというか、反射的に私はゴルファーの
宮里 藍やフィギュア・スケートの浅田真央や卓球の福原 愛のこと
を思い出してしまいましたね。

大舞台であるほど、それを楽しみつくそう、自分の力を信じて
それを出し切ろうとするポジティヴな姿勢。自分がこれから行う
プレイについての冷静な批評眼。それは、かつて日本人がもっとも
苦手としていたことではないでしょうか。それを、とても若い世代
の日本人女性が力強く実現しつつあることに驚嘆を覚えざるを得ま
せん。すばらしいことですよねこれは。
話がそれました。演奏ですが、それはもう・・・おっと、これは
書かないお約束。ただひとつ言えることは、vivoで書き、
予想していたこと、またCDで知っていたことを、はるかに上回る
演奏だったということです。まったく、この22歳の恐ろしいほどの
スケールアップぶりは、ただごとではありません。

最初のシューマンも、これまで聴いてきた他のどの演奏とも異なる
「おおっ!」という個性的なものだったのですが、
やっぱりすごかったのがショスタコーヴィチ。
ここでは詳しく書けませんが、曲調を考えたある視覚的変化
(水戸でもやるかどうかは未定)も加わり、呼吸するのさえ
はばかられる緊張感の中で、客席は金縛りにあったように
約35分のソナタに聴き入っていました。
曲が終わった後の、永遠に続くかと思われるような沈黙。
そしてそれを破るのをためらうかのように控えめにはじまった拍手は
やがて熱狂的に盛り上がり、休憩前なのにブラヴォの嵐となり、
スタンディング・オヴェイションとなるというすごい光景でした。
客席はみんな魂を抜かれているのに、彼女はさっきまで鬼気迫る
演奏をしていたとは思えない満面の、心から嬉しそうな笑み。
いやあ、たいしたものです。

もうこれだけで演奏会一本分くらいの充実感なのですが、
休憩をはさんでリヒャルト・シュトラウスのソナタという
これまた大曲を弾くのですからたまりません。
正直私はショスタコーヴィチに圧倒され尽くして、
「もうあとは何の音楽もはいらないよ」という気分で
客席の中に埋まっていたのですが、曲がはじまるや否や
まったく違う世界に、紙飛行機に乗ったみたいにふわりと
運ばれてしまいました。

なんて楽しそうなんだろう!どうして、こんなにも鮮やかに、
対極にある世界に飛翔できるんだろう!もちろん、その飛翔のために
最高の風を送り続けるゴランの名共演ぶりも特筆すべきでしょう。
それはただの心地よい風ではなく、ときに暴風にも竜巻にもなるの
です。あたかも彼女の飛翔力を、いっそう鍛える試練のように。

終わったあとのカーテンコールの熱狂はもう言うまでもないでしょう。
これだけの大曲を3曲も弾いたのに、いつまでも鳴り止まない
拍手喝采にこたえてアンコールはさらに3曲。
しかも、適当な小曲ではなく、コンサートの流れにフィットした、
絶妙の選曲(なにをやったかはないしょです)。
19:00に始まった演奏会は、幕を閉じたときには
21:20を過ぎていました。

庄司紗矢香とゴランのコンビは30日富山に飛んで演奏会を行い、
本日水戸にやってきます。2人のツアーの千秋楽が、この水戸です。
グランド・フィナーレである水戸の演奏会が、私たちにとっても
彼女たちにとっても最高のものとなるよう、満場の客席と万雷の
拍手とで迎えようではありませんか!

矢澤 孝樹(水戸芸術館音楽部門主任学芸員)

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*本日19時開演、完売間近、ご来館前に必ずご予約ください。
館チケット予約センター Tel. 029-231-8000
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庄司紗矢香ヴァイオリン・リサイタル
ピアノ:イタマール・ゴラン
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2005年12月1日(木)19:00開演 (18:30開場)
水戸芸術館コンサートホールATM
*通常の開演時間と異なりますのでご注意ください。
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 作品105
Schumann:Violin Sonata No.1 in A minor Op.105
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ 作品134
Shostakovich:Violin Sonata Op.134
R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 作品18
R.Strauss :Violin Sonata in E-flat major Op.18
料金(全席指定):A席4,000円・B席3,000円
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2000/2015.html

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