これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date: Thu, 18 May 2006 15:49:57 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,02108] Special essay on Gekidan Kara-gumi 2006 by Takuro Sakurai
To: atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id: <49257172.002588CD.00@david.arttowermito.or.jp>
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▼水戸芸術館ATM速報2006年5月18日発------------------

劇団唐組新作『紙芝居の絵の町で』をめぐって
水戸芸術館演劇部門学芸員 櫻井 琢郎

水戸芸術館広場でも上演した『泥人魚』(2003年)の受賞ラッシュ
以来続く唐十郎に対する再評価の波は、昨年の関西での唐十郎フェス
ティヴァル、新国立劇場、シアターコクーンなどでの旧作の上演に
繋がり、新宿梁山泊への書き下ろし新作『風のほこり』、
映画『ガラスの使徒』への台本執筆および唐自身の出演で、ある意味
頂点に達した感がありました。そして2006年になり、劇作家・演出家
・俳優である唐十郎へのオマージュとも言うべき丁寧な仕事が、
状況劇場から始まる60年代、70年代の唐十郎の世界をダイレクトに
体験していない新しい世代の映像クリエーター、編集者たちによって、
具体的に行われ始めています。

先日のTBS「情熱大陸」で放映された映像には、
これまでに見ることのなかった唐組のアトリエでの稽古状況と、
水戸芸術館でも何度か公演パンフレットや雑誌 WALK 等でお伝えした
唐十郎の戯曲執筆と演出術と俳優との関係が、克明に描かれて
いました。新作の稽古初日より大阪公演の初日までを追っかけて
撮影されています。この番組は基本的にドキュメントなので、
「描かれていた」と表現するのに多少の躊躇がありますが、
最良のドキュメントは最強のフィクションであるべきだし、
私たちの観る唐十郎の紅テントで構築されたフィクションは
劇団唐組の俳優たちの具体的なドキュメンタリーとして楽しむことも
可能なはずです。
生々しくもある舞台芸術の世界を、こうした映像に記録し編集する
才能が、唐十郎というひとつの天才を通して開花する現実を
目の当たりにして、すこし感動しています。

また現在河出書房新社からでている「KAWADE 道の手帖 唐十郎
紅テント・ルネッサンス!」では、新作『紙芝居の絵の町で』の
戯曲が掲載されており、ほかに唐十郎をめぐる様々な演劇的な
テクストを読むことができます。
そこでは、現在の唐ワールドについて行われた文芸評論家・
坪内祐三氏との対談を、寺山修司氏とのかつての対談「肉体論」と
同時に読めるように工夫されています。
さらに幻の傑作中編小説『調教師』も収められていて、
多角的に楽しむことができます。

このように、「唐十郎を撮る」「唐十郎を読む」に続いて、
今週末の水戸芸術館広場で私たちはようやく「唐十郎を観る」ことが
できます。タイトルからしてここ数年の唐組作品とはすこし違った
イメージを持たれる方がいらっしゃると思いますが、内容についても
これまでとどこか違った感覚を受けるのではないでしょうか。
そういったイメージはラストシーンに具体的に描かれていて、
ある種、若者たちの青春群像としてみることもできます。
主人公とヒロインとそれに絡まる特権的なキャラクターが、
主人公の頭のなかの妄想と現実との往還のなかで、
狭い部屋を舞台に、痛快に描かれていたこれまでの作品世界から、
何かを超えるようなものを描きたいと考えているのかもしれません。
『泥人魚』での評価からさらに新しいものへの
挑戦といえるのかも・・・・・・。
どうぞお楽しみに!

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劇団唐組 <新作> 水戸公演 『紙芝居の絵の町で』
http://www.arttowermito.or.jp/2006/engeki/karagumi06j.html
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2006年 5月19日(金)19:00開演
2006年 5月20日(土)19:00開演
2006年 5月21日(日)19:00開演
水戸芸術館広場特設紅テント(雨天決行)
作・演出:唐十郎
全席自由 一般 3,000円/団体(10名様以上) 2,700円/学生 1,500円
チケット好評発売中
・館エントランスホールチケットカウンター(9:30〜18:00)
・館チケット予約センター Tel. 029-225-3555(9:30〜18:00)
・チケットぴあ Tel. 0570-02-9988
・CNプレイガイド Tel. 03-5802-9999

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完売または公演前日まで24時間ご予約いただけます。
*唐組の公演は明日からですので、チケットのお受け取り方法は
  窓口をご選択になり、公演当日のご精算でお願いいたします。
  明日の公演分も本日18時まで、上記よりご予約いただけます。

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ご参考

『泥人魚』公演時の情報
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1500/1575.html

ウォーク第48号/唐十郎 戯曲「虹屋敷」掲載号
 http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1700/1735.html

ウォーク第45号/同戯曲「糸女郎」掲載号
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1400/1464.html

2002年第44号以前のWALKのご案内
http://www.arttowermito.or.jp/play/walk-j.html
ウォーク第41号/同戯曲「闇の左手」掲載号
ウォーク第39号/同戯曲「鯨(ゲイ)リチャード」掲載号
ウォーク第37号/同戯曲「夜壷」掲載号
ウォーク第36号/シリーズ・現代演劇を語る 2 唐十郎 --
                演劇は時代を疾走し続ける
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