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Date: Thu, 24 Aug 2006 10:22:25 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,02150] Special essay #6 on "KONONO No.1" by Takaki Yazawa
To: atm-info@arttowermito.or.jp
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▼水戸芸術館ATM速報2006年8月24日発 -----------------
コノノ通信 最終回
ご無沙汰してしまいました、矢澤孝樹です。
いやー、「コノノ通信、次号本丸に切り込みます」なんて威勢のいい
ことを言ってしまいましたが、準備等でバタバタしているうちに、
あっという間に当日になってしまいました。
伝説として語り継がれるであろう初来日の初公演、いよいよ本日です。
日本ではじめて「コノノNo.1」を目撃するのは、本日水戸市民会館に
来場されるあなたなのです!
まだ迷っている方、ぜひぜひお見逃しなく。
チケットは、午前中なら確実に芸術館に電話予約OKです。
(Tel. 029-231-8000 チケットのお引取りは市民会館になります。)
市民会館での当日券発売は17:00を予定しています。
今回の来日メンバーは、ミュージシャンが 6名。
リーダー、マワング翁をはじめとする
3人の電気リケンベ(親指ピアノ)奏者。
ひとりはソロ、ひとりはリズム、ひとりはベースを担当します。
いわば、リケンベはツイン・ギターのロック・バンドにおける
ギターおよびベースの役割を果たすとお考えください。
これにパーカッションが 2人。
チラシ表面に載っている、自動車ホイールを改造した廃品再生
パーカッションも、きっと見られるはずです。
そしてリード・ヴォーカリスト一名。
ほんとうは、もう1名来日するはずだったのですが、
ツアー途中で蒸発してしまったという噂が・・・おいおい。
これに、踊り手たちが何人か加わるという編成になります。
音楽ですか。
アルバムをお聴きになった方には説明不要かもしれません。
リケンベが奏でる短いモティーフの反復とめくるめく変容、
歌い手たちの力強いコール&レスポンス、
そしてメタリック・パーカッションが刻む複雑で柔軟なリズム。
それは、私たちの頭にある「アフリカ音楽」のイメージを敷衍しつつ、
どこか超えています。
彼らの音楽は、いろんな音楽にたとえられます。
ファンク、ブルース、レゲエ、グナワ、ブラジルのバトゥカーダ、
はてはエレクトロニカやミニマル・ミュージック。
彼らを見出したクラムド・ディスクのプロデューサー、
ヴィンセント・ケニスによれば
「宇宙で唯一の存在」ということになります。
しかし、彼らの音楽は、ミンギエディの出自であるバ・ゾンボ民族
(コンゴとアンゴラの国境近くに居住する)の伝統音楽「マシクル」
にほかなりません。これは王(先祖の霊)をたたえる音楽で、
本来象牙の笛で奏でられる音楽なのだそうです。
これをリケンベで奏でたミンギエディは、やがて自分の音楽を
少しでも遠くの人々に聞かせたい、そして騒音の多いキンシャサの街
でも先祖の霊に届くように、という思いから、竹製のリケンベを
金属製に変え、やがてピックアップ・マイクを取り付けて「電化」
したのでした。
このような出自が示すように、彼らの音楽は、前回お話したコンゴの
ポピュラー・ミュージック、リンガラ音楽の範疇におさまるものでは
ありません。リンガラ音楽が、植民地から生まれた音楽だとすれば、
コノノの音楽は、正真正銘の「トライブ」(民族)の音楽なのです。
そして、その「トライブ」の音楽は今コンゴで圧倒的な反響を呼び
フォロワーが続々と登場しています(アルバム『コンゴトロニクス2』
をご参照あれ)。
そしてベックや石野卓球など、先鋭なミュージシャンたちが注目して
いるというこの痛快な事実。
コノノの音楽は、「トライブ発、世界行き」なのです。
この文を読むあなたが日本で最初のコノノの聴衆となり、
その怒涛のグルーヴに歓喜されることを、心から祈っています。
それでは水戸市民会館でお会いしましょう!
矢澤 孝樹(水戸芸術館音楽部門主任学芸員)
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