これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date: Fri, 11 Jul 2008 21:55:48 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,02374] Sophie Yates Cembalo Recital
To: atm-info@arttowermito.or.jp
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▼水戸芸術館ATM速報2008年7月11日発 -------------------

フランス十八世紀のロココの味わいの一つがここにある。これは
ピアノに求めても、なかなかこう直接に生身の肌に接するように
は聞こえてこないものである。私はとびきり上等のブドウ酒を
少しのんだみたいにほんのりと陶然たる心地になった。

吉田 秀和(水戸芸術館 館長)

「吉田秀和全集23 音楽の時間V『I 今月の一枚 ソフィー・イエイツ
  ラモー/チェンバロ作品集』」(白水社)から引用

*白水社 http://www.hakusuisha.co.jp/

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17世紀から18世紀にかけての「バロック」と呼ばれる時代、音楽は、
それぞれが生まれた国ならではの、顔つきをしていた。

イタリアは、コレッリやヴィヴァルディの、艶やかな弦の響き、
あるいは輝かしい歌。
ドイツは、シュッツや大バッハの、厳しく深い音楽。
フランスは、リュリの威厳あるたたずまいや、ラモーの踊りや歌に
ただよう機知と洗練。
そしてイギリスは、ダウランドやパーセルの、憂愁と幻想・・・。

チェンバロという楽器は、そんなバロック音楽のあり方を体現したか
のように、国によって名前を変える。
イタリアやドイツではチェンバロ、イギリスではハープシコード、
そしてフランスではクラヴサン。

今宵、お聴きいただくのは、まずは「クラヴサン」の音楽。
ルイ14世から15世の治世にかけて、フランス宮廷文化が華と開いた
時代のエッセンスが、銀の鈴を振るようなクラヴサンの響きの中に、
香り高く封じこめられている。
粋なタイトルの小品たちが、貴族たちの優雅な語らいの声、ドレスの
衣擦れの音、踊りのステップまでもよみがえらせてくれる。
対するは、フローベルガーやJ.S.バッハら、ドイツの「チェンバロ」
音楽。彼らの音楽は、フランス音楽との関係ぬきに語れない。
フローベルガーの作品は、パリのクラヴサン音楽家たちと影響を
与えあったし、バッハの<イギリス組曲>には、(その名に反して)
フランスのクラヴサン音楽から多くの富を得ている。
けれども耳をすませば、聴こえてくる -- 華やかさよりも、思索へ
身を沈めることを求める、彼らの内なる声が。

今宵の案内人は、ソフィー・イェーツ。
ピノックやホグウッドら、名手を輩出した「古楽の国」イギリスを、
今や代表するチェンバリスト。「チェンバロ」「クラヴサン」
「ハープシコード」それぞれの世界を、自由に行き来し、
それぞれの音楽を鮮やかに描きつくす。
彼女の指にみちびかれ、今宵はクラヴサンとチェンバロの国へ、
ようこそ。

担当:矢澤 孝樹(水戸芸術館音楽部門 主任学芸員)
http://www.arttowermito.or.jp/blog/yazawa/

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ソフィー・イェーツ チェンバロ・リサイタル
〜 クラヴサン、あるいはチェンバロ 〜
Sophie Yates Cembalo Recital
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2008年10月18日(土)18:00開場 18:30開演
会場:水戸芸術館コンサートホールATM

フローベルガー:トッカータ 第2番
ル・ルー:組曲 第4番 イ長調
   [速いアルマンド、クーラント "ヴェネツィア人"、ジグ]
F.クープラン:第14オルドゥル(組曲)から
   [恋の夜うぐいす、夜うぐいすのドゥーブル、おびえた紅ひわ、
    嘆き節のムシクイたち、勝ち誇る夜うぐいす、
    シテール島の鐘、ささいなもの]
ラモー:クラヴサン曲集
   [エンハーモニック(異名同音)、エジプトの女、王太子妃]
J.S.バッハ:<平均律クラヴィーア曲集 第2巻>から
    前奏曲とフーガ 第6番 ニ短調 BWV875
J.S.バッハ:イギリス組曲 第6番 ニ短調 BWV811

主催:水戸市芸術振興財団

料金(全席指定):3,000円
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チケット発売:2008年 7月19日(土)
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・館エントランスホールチケットカウンター(9:30〜18:00、月曜休)
・館チケット予約センター Tel. 029-231-8000(9:30〜18:00、月曜休)
・MUSIC SHOP かわまた Tel. 029-226-0351
・ヤマハミュージック関東 Tel. 029-224-2861
・チケットぴあ Tel. 0570-02-9990
・CNプレイガイド Tel. 0570-08-9990
・ATM速報受信のお客さまに限り、館日本語トップページ「ATM速報
  受信のお客さま専用ご予約メニュー」からご予約いただけます。
(発売日 9:30以降、公演前日または完売まで無休)

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ソフィー・イェーツ(チェンバロ)
Sophie Yates, Cembalo

マンチェスターのチェッタム音楽学校、ロンドンのロイヤル・カレッ
ジ・オブ・ミュージック、アムステルダム=スウェーリンク音楽院で
チェンバロをルース・ダイソン、ロバート・ウーリー、ボブ・ファン
・アスペレンに師事、またトレヴァー・ピノックのマスタークラスを
受講し影響を受けている。
ボストン古楽フェスティバルにおける国際エルヴィン・ボドキー・
コンクールで優勝して演奏家としての活動を開始、これまでにヨーロ
ッパの主要都市、日本、合衆国、モロッコ、オーストラリア等へ招か
れている。また、アントワープのルーベンス・ハウス、コペンハーゲ
ンのローゼンボルグ城、ロンドンのナショナル・ポートレイト・ギャ
ラリー等、歴史的な会場における演奏会も度々行っている。

学生時代よりフェントン・ハウスのベントン・フレッチャー・コレク
ションやロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージック博物館において
定期的に演奏する機会を持ち、オリジナル楽器を用いた演奏に情熱を
傾けることとなった。現在もこれらの施設やエジンバラのラッセル・
コレクション等より定期的に招かれている。さらに、ナショナル・
トラスト、イェール大学、プライベート・コレクションのオリジナル
楽器を用いたリサイタルを度々行っている。同時に現代作品にも興味
をもっており、ヴァージナルのための新作やチェンバロとピアノの
ための新作を委嘱し初演している。

熱心な指導者でもあり、ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージック、
ロイヤル・ウェールズ・カレッジ、バーミンガム音楽院、西オースト
ラリア大学等で後進の指導にあたっている。

シャンドス・レーベルより、ヘンデルやラモーのチェンバロ作品集を
始めとする多数のCDをリリースしており、その多くがグラモフォン誌
の "エディターズ・チョイス" を含む賞にノミネートされている。
また、イギリスBBCテレビとの企画やラジオ番組にも度々出演している。

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