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Date: Thu, 11 Feb 2010 18:08:53 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,02549] Portrait of GYORGY LIGETI
To: atm-info@arttowermito.or.jp
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▼水戸芸術館ATM速報2010年2月11日発 ---------------
「私は、様々な文化や人間に出会い、異なる文化や人間をそのままに、
つまり、異なるまま尊重するということを学びました。ひとつの国が
他の国より優れているとか、あるいはある文化が他の文化より劣って
いるとか、そんな優劣は一切ありえない。(*)」とリゲティは語る。
ハンガリーのユダヤ人の家に生まれたリゲティは、
その前半生に 2つの抑圧を経験している。
1つ目はドイツ軍のハンガリー占領による、ナチ政権のユダヤ人弾圧。
彼の父や兄や多くの親戚が強制収容所に送還され、命を奪われた。
2つ目は、第二次世界大戦後の社会主義制度下の思想、芸術創造上に
までおよんだ弾圧。
その後、人類はこうした愚行を繰り返してはならないと、
自由で平等な社会の実現を目指した。しかし、21世紀を迎え、
人類は再び、それぞれの利権を大声で主張し、殺し合いの泥沼に
堕ち込んでいこうとしている。
だからこそ、先の世紀の犠牲者であり、それ故に心から、
国家・民族を超えた人類のあり様を希求したリゲティの残した音楽に、
あらためて耳を傾けてみたい。
リゲティの創作の系譜を追うことは、そのまま第二次世界大戦後の
作曲の歴史の全体を眺めることになる。彼は、戦後生み出された
あらゆる手法に対して、鋭敏な感性と知性で向かい合い、
独自の作品を生み出し続けていった。
現代に創作される音楽が、大衆からかけ離れ、エリート主義によって
かき乱されている中で、リゲティの音楽はそうした権威とは無縁で
あるが故に、幅広い層の人たちに受け入れられてきている。
その音楽は、豊かなイマジネーションを喚起するものであり、
紛れもない音響の美しさを宿している。
<弦楽四重奏曲 第1番 "夜の変容">は、ハンガリーで反ファシズム
の英雄とみなされていたバルトークの影響の下に書かれた初期の作品
である。2台ピアノのための<ライヒとライリーのいる自画像(背景
にショパンもいる)>は、ミニマル・ミュージックの旗手ライヒと
ライリー、その先駆者としてのショパンの名を冠した、
リゲティ独自のミニマル作品。後期の最大の傑作のひとつと評されて
いるのが<ピアノのための練習曲集>。その演奏には高度の名人芸が
要求される、ピアノ音楽の限界を打ち破る作品だ。
<無伴奏ヴィオラ・ソナタ>も演奏には超絶技巧を要し、
ルーマニア民謡などの要素を取り入れ、民族音楽などに息づく
始原の響を感じさせる自然倍音に着目して作曲された。
<弦楽四重奏曲 第2番>は、色彩が輪郭に取って代わるセザンヌの
絵の技法のように、特定の主題や輪郭をもたないマイクロ・ポリフォ
ニーという手法で書かれた作品。
<ルクス・エテルナ(永遠の光)>は、16人の混声合唱のための
無伴奏作品で、キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』でも使用
された。カトリックにおける死者のための聖餐という意味をもつ音楽
である。
*TBSブリタニカ刊『ポリフォーンVol.10』の「武満徹連続対談10
ジェルジ・リゲティ」より引用
担当:中村 晃(水戸芸術館音楽部門主任学芸員)
http://www.arttowermito.or.jp/blog/nakamura/
私たちの未来に、希望を持ち続けるために
リゲティの音楽に耳を傾ける。
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GYORGY LIGETI リゲティの肖像
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2010年 6月20日(日)
水戸芸術館コンサートホールATM
プレ演奏 14:00開場・開演
・100台のメトロノームのための<ポエム・サンフォニック>(1962)
演奏会 14:30開場・15:00開演
・弦楽四重奏曲 第1番 <夜の変容> (1953-54)
・ライヒとライリーのいる自画像(背景にショパンもいる)(1976)
・ピアノのための練習曲集
第1巻 VI. ワルシャワの秋(1985)/第1巻 V. 虹(1985)
第2巻 XIII. 悪魔の階段(1993)
・無伴奏ヴィオラ・ソナタ(1991-94)
・弦楽四重奏曲 第2番(1968)
・ルクス・エテルナ(永遠の光)(1966)
出演
アルディッティ弦楽四重奏団
小坂 圭太(ピアノ)
中川 賢一(ピアノ)
松井 慶太(合唱指揮)
東京混声合唱団(合唱)
白石 美雪(おはなし)
主催:財団法人水戸市芸術振興財団
料金(全席指定):一般:3,500円/学生:1,000円
*学生券は水戸芸術館のみの取り扱いとなります。
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チケット発売:2010年 2月27日(土)
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・館エントランスホールチケットカウンター(9:30〜18:00、月曜休)
・館チケット予約センター Tel. 029-231-8000(9:30〜18:00、月曜休)
・MUSIC SHOPかわまた 029-226-0351
・ヤマハミュージック関東 Tel. 029-244-6661
・チケットぴあ Tel. 0570-02-9999(Pコード 348-719)
・CNプレイガイド Tel. 0570-08-9990
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いただけます。(発売日9:30以降、公演前日または完売まで無休)
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ジェルジ・リゲティ
ハンガリー生まれのオーストリアの作曲家。
1923年、トランシルヴァニアのディチェーセントマールトン
(現ルーマニアのティルナヴェニ)で、ユダヤ人の家庭に生まれる。
クラウゼンブルク音楽院でファルカシュに作曲を学び(1941-43)、
第二次世界大戦が終わるとリスト音楽院で作曲の勉強を再開し、
ファルカシュ、バールドシュ、ヤールダーニに作曲を師事。卒業後、
ルーマニアの民俗音楽の実地調査に携わる。50年からリスト音楽院の
和声、対位法、楽曲分析の教授に任命される。
56年のハンガリー動乱に際し、ウィーンに亡命。アイメルトに招かれて
ケルンの西ドイツ放送電子音楽スタジオの自由研究員となり、
2つの作品を残す。59年からダルムシュタット現代音楽夏期講習会で
毎年のように講義を行う。60年の国際現代音楽協会(ISCM)音楽祭など
で、リゲティの作品は熱狂的に迎えられ、次第に彼の名は国際的に知ら
れるようになっていく。61年からはストックホルム音楽アカデミーで
作曲の客員教授を定期的に務めた。
72年にカリフォルニアのスタンフォード大学の客員講師就任に続き、
73年にはハンブルク音楽大学の作曲家教授に就任している。
スウェーデン王立音楽アカデミー、ハンブルク自由芸術アカデミー、
西ベルリン芸術アカデミー会員。
88年フランス芸術勲章、91年高松宮殿下記念世界文化賞、
93年ジーメンス財団音楽賞、96年ユネスコ国際音楽評議会音楽賞、
2001年京都賞、03年テオドール・W・アドルノ賞、
04年スウェーデン王立アカデミー・ポーラ音楽賞などを受賞。
06年 6月12日、ウィーンにて逝去。
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アルディッティ弦楽四重奏団
1974年に第一ヴァイオリンのアーヴィン・アルディッティが
クァルテットを創設、活動を開始。
現代作品の深い解釈と卓抜した演奏は、世界各地に広く知られ、
高い評価を確立している。この30余年の間に、数百もの弦楽四重奏曲
が彼らのために作曲されている。
ケージ、カーター、グバイドゥーリナ、細川俊夫、カーゲル、
ラッヘンマン、リゲティ、シュトックハウゼン、クセナキスなどの
作品の世界初演を行なっている。CDは130枚以上がリリースされている。
99年、エルンスト・フォン・シーメンス音楽賞を受賞。
2009年1月には、ローマで再演されたシュトックハウゼンの
<ヘリコプター・クァルテット>で注目を集めた。
水戸芸術館では00年の単独演奏会、04年の「べリオの肖像」に
出演している。
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小坂 圭太(ピアノ)
東京芸術大学音楽学部を経て、1987年同大学院修士課程を修了。
85年第54回日本音楽コンクール(ピアノ部門)入選。89年第58回
同コンクール声楽部門にてコンクール委員会特別賞(協演賞)。
在学中より、ソロ、伴奏、室内楽、オーケストラの鍵盤楽器、
コレペティートゥアなど多岐に亘る活動を開始。
現在、お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科准教授、
愛知県立芸術大学音楽学部、相愛大学音楽学部でも後進の指導に
あたっている。
水戸芸術館では本年2月の「中学生のための音楽鑑賞会2010」、
「ちょっとお昼にクラシック9」などに出演している。
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中川 賢一(ピアノ)
桐朋学園大学音楽学部ピアノ専攻卒業。同時に指揮も学ぶ。
卒業後渡欧し、ベルギーのアントワープ音楽院ピアノ科最高過程、
特別過程を首席で修了。1997年オランダのガウデアムス国際現代音楽
コンクール第3位。
ベルギー、パリ、イギリスなど各地の音楽祭に出演する。
98年帰国後は、ソロ、室内楽奏者として活動。指揮者としては、
2005年広島交響楽団と共演。東京室内歌劇場ではグラス、ヒンデミット、
ナイマンなどのオペラ作品で指揮者を務めている。
現在、お茶の水女子大学、桐朋学園大学で後進の指導も行っている。
水戸芸術館では、04年「現代音楽を楽しもうXVII アンサンブル・
ノマド」、「べリオの肖像」に出演している。
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松井 慶太(合唱指揮)
16歳の時、ピアニストとしてポーランド国立クラクフ交響楽団と共演。
2006年、韓国で行われたアジア・フィルハーモニー管弦楽団に参加し、
チョン・ミョンフンに指揮を学ぶ。07年、東京音楽大学指揮科卒業。
これまでに指揮を広上淳一、汐澤安彦に師事。07年、ハンガリーの
ブダペストにてドゥナ交響楽団を指揮。国内では日本フィルハーモニー
交響楽団、オーケストラアンサンブル金沢、京都市交響楽団等を指揮。
08、09年には、NHK交響楽団定期演奏会で東京混声合唱団の合唱指揮者
を務める。09年、第15回東京国際音楽コンクール<指揮>入賞、
奨励賞受賞。
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東京混声合唱団(合唱)
1956年、東京芸術大学声楽科の卒業生により創設されたプロ合唱団。
レパートリーは、作曲委嘱活動で生まれた194曲をはじめ、
グレゴリオ聖歌からルネサンス、古典派、ロマン派、シェーンベルク、
クセナキス、リゲティ等の現代作品、そしてわが国の現代作曲家に
よる作品まで、あらゆる合唱作品を網羅している。文化庁芸術祭大賞、
音楽之友社賞、毎日芸術賞、京都音楽賞などを受賞。
アメリカ、スウェーデン、ベルギー、フィンランド、カナダなどでも
公演を行っている。田中信昭(音楽監督・桂冠指揮者)、
ヴォルフディーター・マウラー(首席客演指揮者)、松原千振(常任
指揮者)、大谷研二(指揮者)など、多彩な指揮者陣を擁している。
2007年、第38回サントリー音楽賞、第25回中島健蔵音楽賞を受賞。
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