これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date: Fri, 10 Oct 2014 18:27:28 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,03124] Yoshida Hidekazu Prize for 2014
Sender: tamamik@arttowermito.or.jp
To: atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id: <OFE660BE10.E1C282B7-ON49257D6D.0033E8CD-49257D6D.0033F3FD@GlobalDom1>
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▼水戸芸術館ATM速報2014年10月10日発 ---------------

音楽・演劇・美術など、芸術の各分野における優れた評論に対して
贈られる「吉田秀和賞」、第24回・平成26年度の受賞作品が、
全235点の候補書籍の中から決まりました。
http://arttowermito.or.jp/yoshida/yoshida01.html

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第24回 吉田秀和賞 受賞作品
通崎 睦美 『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』
(講談社 2013年 9月刊)
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通崎 睦美 (つうざき・むつみ)

1967年京都市生まれ。京都市立芸術大学大学院音楽研究科修了。
常に作曲や編曲の委嘱を活発に行い、独自のレパートリーを開拓。
ピアノ、ヴァイオリン、アコーディオン、箏、リコーダーを始めと
する様々な楽器やダンスとのデュオ、マリンバ・トリオ、行って
いる。また、2005年2月、東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏
会(指揮/井上道義)で、木琴の巨匠・平岡養一氏が初演した紙恭輔
「木琴協奏曲」(1944)を演奏。それをきっかけに、平岡の愛器と
約600点にのぼる楽譜やマレットを譲り受けた。以後、演奏・執筆
活動を通じて木琴の復権に力を注いでいる。一方、2000年頃より
アンティーク着物の着こなしが話題となり、コレクションや
ライフスタイルが様々なメディアで紹介されている。 

CDに『MUTSUMI〜Songs from Asia』『M×PIAZZOLLA』(イースト
ワークスエンタティンメント)、『届くことのない12通の手紙』
『1935』(コジマ録音)、『スパイと踊子』(マイスターミュージッ
ク)。 
著書に『天使突抜一丁目〜着物と自転車と』『通崎好み』『天使
突抜367』(淡交社)、『ソデカガミ〜銘仙着物コレクション』(PHP
研究所)。 

http://www.tsuuzakimutsumi.com/
https://www.facebook.com/mutsumi.tsuuzaki
https://twitter.com/tsuuzakimutsumi


▼審査員選評

これはすぐれた「伝」である。人として何ひとつ欠けるところのない
姿で、1907年生まれの平岡養一というひとりの音楽家が一から始めた
生涯を、1967年生まれの通崎睦美が向こう岸までわたりおえた。彼女
もまたひとりの音楽家として、伝記作者がしばしば陥りがちな予知、
先取りを充分に警戒しながら、六十歳年長の平岡養一のあとを追う。
彼女が十歳のとき、日本各地巡歴の記念演奏会で京都にきた平岡養一
は、木琴を習っているこの少女を舞台に引き上げ、「チャールダシュ」
を少女と協奏。そして固い握手と励ましの声。「平岡が次世代に託そ
うとしたのは、木琴という楽器だけではなく、それを弾く心そのもの
だったのではないだろうか。私は、平岡の人生をたどってみて、その
ことに気付かされた」と通崎は本書の「むすび」にいたって打明ける。
前後照応というすぐれた「伝」の生まれた遠因、そしてのちに平岡
養一愛用の「ディーガン・アーティスト・スペシャル・ザイロフォン
No. 266」が遺族によって通崎睦美の常用楽器になるのも、同じ遠因
の働きである。人生と音楽。音楽と人生。この二重奏の永遠性。

杉本 秀太郎 


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日本人は手先が器用。小回りが利く。機動性に富む。そんなイメージ
にピッタリなのが木琴だ。ピアノなら腕力。声楽や管楽器なら肺活量。
西洋人に太刀打ちするのは容易ではない。しかし木琴は違う。牛若丸
は弁慶に勝つ。その論理が通る楽器だ。事実、戦間期のアメリカに
木琴の日本人スターが誕生した。平岡養一である。近代日本から
真っ先に登場した、世界に通用する西洋クラシック音楽家のひとり。
山田耕筰や近衛秀麿や三浦環と並べられて然るべき人だ。本書は彼の
ことを書き尽くす。詳細な伝記的事実から演奏スタイルの適確な分析
まで。周囲への目配りも十分に。貴重な原資料もたっぷり用いて。
「同業者」ならではの温かく時に厳しい批評も伴って。立派な評伝だ。
日本近代音楽史を語るうえで避けて通れぬ一冊である。 

片山 杜秀 
 

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▼「吉田秀和賞」について

音楽を中心に芸術評論に多大な功績のあった吉田秀和氏の名を冠し、
1990年に創設された吉田秀和賞は、芸術文化を振興することを目的と
して、優れた芸術評論に対して賞を贈呈しております。

■対象   音楽・演劇・美術などの各分野で、優れた芸術評論を
      発表した人に対して

■正賞   表彰状 
 
■副賞   賞金 200万円

■審査委員会
   審査委員長 杉本秀太郎
          文学者・国際日本文化研究センター名誉教授
   審査委員  片山杜秀  評論家・慶應義塾大学法学部教授

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▼これまでの受賞作品:

第 1回(1991年、平成 3年度)
  秋山邦晴「エリック・サティ覚え書き」
  青土社 http://www.seidosha.co.jp/ 1990年6月刊

第 2回(1992年、平成 4年度)
  持田季未子「絵画の思考」
  岩波書店 http://www.iwanami.co.jp/ 1992年4月刊

第 3回(1993年、平成 5年度)
  該当作品なし

第 4回(1994年、平成 6年度)
  渡辺保「昭和の名人 豊竹山城少掾」
  新潮社 http://www.shinchosha.co.jp/ 1993年9月刊

第 5回(1995年、平成 7年度)
  松浦寿輝「エッフェル塔試論」
  筑摩書房 http://www.chikumashobo.co.jp/ 1995年6月刊

第 6回(1996年、平成 8年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/0/35.html
  長木誠司「フェッルッチョ・ブゾーニ」
  みすず書房 http://www.msz.co.jp/ 1995年11月刊

第 7回(1997年、平成 9年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/200/256.html
  伊東信宏「バルトーク」
  中央公論社 http://www.chuko.co.jp/ 1997年7月刊

第 8回(1998年、平成10年度)
  該当作品なし

第 9回(1999年、平成11年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/800/800.html
  青柳いづみこ『翼のはえた指  評伝安川加壽子』
  白水社 http://www.hakusuisha.co.jp/ 1999年 6月刊

第10回(2000年、平成12年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1000/1056.html
  小林頼子
『フェルメール論 〜神話解体の試み』
  八坂書房 http://www.yasakashobo.co.jp/ 1998年 8月刊
『フェルメールの世界 17世紀オランダ風俗画家の軌跡』
  日本放送出版協会 http://www.nhk-book.co.jp/ 1999年 10月刊

第11回(2001年、平成13年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1200/1295.html
  加藤 幹郎
『映画とは何か』みすず書房 http://www.msz.co.jp/ 2001年 3月刊

第12回(2002年、平成14年度)
  該当作品なし

第13回(2003年、平成15年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1600/1678.html
  岡田温司『モランディとその時代』
  人文書院 http://www.jimbunshoin.co.jp/ 2003年8月刊

第14回(2004年、平成16年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1800/1857.html
  湯沢英彦『クリスチャン・ボルタンスキー 死者のモニュメント』
  水声社 http://www.suiseisha.net/ 2004年 7月刊

第15回(2005年、平成17年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2000/2023.html
  宮澤淳一『グレン・グールド論』
  春秋社 http://www.shunjusha.co.jp/ 2004年12月刊

第16回(2006年、平成18年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2100/2170.html
  有木宏二『ピサロ/砂の記憶 -- 印象派の内なる闇』
  人文書館 http://www.zinbun-shokan.co.jp/ 2005年11月刊

第17回(2007年、平成19年度)
  該当作品なし

第18回(2008年、平成20年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2300/2399.html
  片山 杜秀
  『音盤考現学』(アルテスパブリッシング 2008年2月刊)
  『音盤博物誌』(アルテスパブリッシング 2008年5月刊)
  http://www.artespublishing.com/

第19回(2009年、平成21年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2400/2495.html
岡田 暁生『音楽の聴き方』
 中公新書 http://www.chuko.co.jp/ 2009年6月刊

第20回(2010年、平成22年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2600/2610.html
白石 美雪『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』
 武蔵野美術大学出版局 http://www.musabi.co.jp/
 2009年10月刊

第21回(2011年、平成23年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2700/2727.html
椎名 亮輔
『デオダ・ド・セヴラック----南仏の風、郷愁の音画』
 アルテスパブリッシング http://www.artespublishing.com/
 2011年9月刊

第22回 (2012年、平成24年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2800/2872.html
新関 公子
『ゴッホ 契約の兄弟―フィンセントとテオ・ファン・ゴッホ』
 ブリュッケ  2011年11月刊

第23回(2013年、平成25年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2900/2983.html
末永 照和
『評伝ジャン・デュビュッフェ アール・ブリュットの探求者』
 青土社 http://www.seidosha.co.jp/ 2012年10月刊

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