これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date: Thu, 29 Sep 2016 17:32:16 +0900
From: tamamik@arttowermito.or.jp
Subject: [atm-info,03338] Yoshida Hidekazu Prize 2016
Sender: tamamik@arttowermito.or.jp
To: atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id: <OF5DD7D658.9C6CA1BB-ON4925803D.002ECFF5-4925803D.002EE6AE@GlobalDom1>
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▼水戸芸術館ATM速報2016年9月29日発 ---------------

音楽・演劇・美術など、芸術の各分野における優れた評論に対して
贈られる「吉田秀和賞」、第26回・平成28年度の受賞作品が、
総数222点の候補書籍の中から決まりました。
贈呈式は10月29日(土)水戸芸術館会議場にて行われます。
http://arttowermito.or.jp/yoshida/yoshida01.html

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第26回 吉田秀和賞 受賞作品
立花 隆『武満徹・音楽創造への旅』
(文藝春秋 2016年2月刊)
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立花 隆 (たちばな・たかし)
 
1940年長崎市生まれ。茨城大学付属小・中学校卒業。56年茨城県立
水戸第一高校入学、2年生時に、東京都立上野高校へ転校。59年同校
卒業。64年東京大学仏文科卒業。同年、文藝春秋入社。66年退社し、
67年東大哲学科に学士入学。在学中から評論活動に入る。74年の
「田中角栄研究―その金脈と人脈」(「文藝春秋」11月号)で金脈
追求の先鞭をつけ、社会に大きな衝撃を与えた。その徹底した取材と
卓抜した分析力による文筆活動で菊池寛賞、司馬遼太郎賞を受賞。
著書に『宇宙からの帰還』『脳死』『精神と物質』『サル学の現在』
『21世紀 知の挑戦』『天皇と東大』『がん 生と死の謎に挑む』
『読書脳 ぼくの深読み 300冊の記録』『四次元時計は狂わない 
21世紀 文明の逆説』『死はこわくない』『「戦争」を語る』ほか
多数。
 

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▼審査員選評


今年は武満徹没後20年です。
これを記念して国内の音楽フェスティバルや定期演奏会のプログラム
ではいずこも武満徹がフィーチュアされており、立花隆さんの
『武満徹・音楽創造への旅』の出版はまさに時宜を得ています。

私は1960年前後の10年間、この本で扱われている人々の事件となった
パフォーマンスを含め、ほとんどの初演を観衆のひとりとして片隅で
聴いてきました。その間の事情は実に細かく聞き取りがなされ、巧み
に描写されています。そのことだけでも「吉田秀和賞」に値します。

が、何故出版が伸びたのか。
作品の芸術性の評価のさわりに吉田秀和さんのコトバが幾度か引用
されています。アヴァンギャルドから日本楽器の<音>と<声>を
大胆に世界の音楽界のなかに持ち込んだタケミツを私は賞賛して
いますが、まさか、これを吉田秀和さん本人に聞かせたくなかったの
ではないでしょうね。

磯崎 新


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人間は自分の目線でしか相手を見られない。
巨匠を真に理解しようとするには巨匠級の目線が、 
天才を本当に分かろうとするには天才級の目線が必要だ。
しかもその目線を送る者は目線を送られる者と異分野の人である方が
往々にしてうまく行く。同業だとライヴァル心の入ることもあれば、
会話が仲間内の符牒で完結してしまうこともある。

その意味で、作曲の天才、武満徹と、
音楽にも造詣の深い巨匠ジャーナリスト、
立花隆の組み合わせは、まさに理想的。
立花が武満にインタヴューを重ねる。立花が打てば武満が響く。
そこに紡がれる武満の言葉の周辺を立花が丹念にときほぐす。
すこぶる分厚い本になった。

といっても、本書は武満徹の芸術と人生をトータルに描ききったもの
ではない。道半ばで作曲家が逝ってしまったからである。
まるで巨大な未完のトルソのような。読者は書かれなかった隙間や
語られなかったその先を自ら埋めたくなるだろう。
たとえば武満の遺したたくさんの音楽を聴きながら。

オープンなのである。自由なのである。膨大なのだが重圧感はない。
本書のよさだ。読者は、立花の用意した情報の海を様々なルートで
漕ぎ渡りながら、いろいろな行き先を見つけられるだろう。

武満徹は吉田秀和賞の審査員でもあった。その没後20年に水戸育ちの
立花隆による武満の本がまとまる。水戸の縁も巡っているのだろう。
何だかとても嬉しい。

片山 杜秀


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▼「吉田秀和賞」について

音楽を中心に芸術評論に多大な功績のあった吉田秀和氏の名を冠し、
1990年に創設された吉田秀和賞は、芸術文化を振興することを目的と
して、優れた芸術評論に対して賞を贈呈しております。 

・対象   音楽・演劇・美術などの各分野で、優れた芸術評論を
      発表した人に対して

・正賞   表彰状 
 
・副賞   賞金 200万円

・審査委員 磯崎 新   建築家
      片山 杜秀 評論家・慶應義塾大学法学部教授

お問い合わせ:公益財団法人水戸市芸術振興財団 吉田秀和賞担当
       310-0063 茨城県水戸市五軒町 1-6-8
       Tel. 029-227-8111 / Fax. 029-227-8110

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▼これまでの受賞作品:

第 1回(1991年、平成 3年度)
  秋山邦晴「エリック・サティ覚え書き」
  青土社 http://www.seidosha.co.jp/ 1990年6月刊

第 2回(1992年、平成 4年度)
  持田季未子「絵画の思考」
  岩波書店 http://www.iwanami.co.jp/ 1992年4月刊

第 3回(1993年、平成 5年度)
  該当作品なし

第 4回(1994年、平成 6年度)
  渡辺保「昭和の名人 豊竹山城少掾」
  新潮社 http://www.shinchosha.co.jp/ 1993年9月刊

第 5回(1995年、平成 7年度)
  松浦寿輝「エッフェル塔試論」
  筑摩書房 http://www.chikumashobo.co.jp/ 1995年6月刊

第 6回(1996年、平成 8年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/0/35.html
  長木誠司「フェッルッチョ・ブゾーニ」
  みすず書房 http://www.msz.co.jp/ 1995年11月刊

第 7回(1997年、平成 9年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/200/256.html
  伊東信宏「バルトーク」
  中央公論社 http://www.chuko.co.jp/ 1997年7月刊

第 8回(1998年、平成10年度)
  該当作品なし

第 9回(1999年、平成11年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/800/800.html
  青柳いづみこ『翼のはえた指  評伝安川加壽子』
  白水社 http://www.hakusuisha.co.jp/ 1999年 6月刊

第10回(2000年、平成12年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1000/1056.html
  小林頼子
『フェルメール論 〜神話解体の試み』
  八坂書房 http://www.yasakashobo.co.jp/ 1998年 8月刊
『フェルメールの世界 17世紀オランダ風俗画家の軌跡』
  日本放送出版協会 http://www.nhk-book.co.jp/ 1999年 10月刊

第11回(2001年、平成13年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1200/1295.html
  加藤 幹郎
『映画とは何か』みすず書房 http://www.msz.co.jp/ 2001年 3月刊

第12回(2002年、平成14年度)
  該当作品なし

第13回(2003年、平成15年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1600/1678.html
  岡田温司『モランディとその時代』
  人文書院 http://www.jimbunshoin.co.jp/ 2003年8月刊

第14回(2004年、平成16年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/1800/1857.html
  湯沢英彦『クリスチャン・ボルタンスキー 死者のモニュメント』
  水声社 http://www.suiseisha.net/ 2004年 7月刊

第15回(2005年、平成17年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2000/2023.html
  宮澤淳一『グレン・グールド論』
  春秋社 http://www.shunjusha.co.jp/ 2004年12月刊

第16回(2006年、平成18年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2100/2170.html
  有木宏二『ピサロ/砂の記憶 -- 印象派の内なる闇』
  人文書館 http://www.zinbun-shokan.co.jp/ 2005年11月刊

第17回(2007年、平成19年度)
  該当作品なし

第18回(2008年、平成20年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2300/2399.html
  片山 杜秀
  『音盤考現学』(アルテスパブリッシング 2008年2月刊)
  『音盤博物誌』(アルテスパブリッシング 2008年5月刊)
  http://www.artespublishing.com/

第19回(2009年、平成21年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2400/2495.html
岡田 暁生『音楽の聴き方』
 中公新書 http://www.chuko.co.jp/ 2009年6月刊

第20回(2010年、平成22年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2600/2610.html
白石 美雪『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』
 武蔵野美術大学出版局 http://www.musabi.co.jp/
 2009年10月刊

第21回(2011年、平成23年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2700/2727.html
椎名 亮輔
『デオダ・ド・セヴラック----南仏の風、郷愁の音画』
 アルテスパブリッシング http://www.artespublishing.com/
 2011年9月刊

第22回 (2012年、平成24年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2800/2872.html
新関 公子
『ゴッホ 契約の兄弟―フィンセントとテオ・ファン・ゴッホ』
 ブリュッケ 2011年11月刊

第23回(2013年、平成25年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2900/2983.html
末永 照和
『評伝ジャン・デュビュッフェ アール・ブリュットの探求者』
 青土社 http://www.seidosha.co.jp/ 2012年10月刊

第24回 (2014年、平成26年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/3100/3124.html
通崎 睦美
『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』
 講談社 http://www.kodansha.co.jp/ 2013年 9月刊

第25回 (2015年、平成27年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/3200/3246.html
椹木 野衣
『後美術論』
 美術出版社 http://book.bijutsu.press/ 2015年 3月刊

第26回 (2016年、平成28年度)
http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/3300/3338.html
立花 隆『武満徹・音楽創造への旅』
 文藝春秋 http://www.bunshun.co.jp/ 2016年 2月刊


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