これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date:  Thu, 21 May 1998 22:58:24 +0900 (JST)
From:  fn9t-kjm@asahi-net.or.jp (KOJIMA, Tamami)
Subject:  [atm-info,00412] info0521
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▼ATM速報1998年5月21日発−−−−−−−−−−−−−−−−−

ACM劇場、この秋の公演予告です。
「よむ言葉」でみなさまとの距離感を縮めつつ、長谷川裕久の演出の冴えを
そのままに劇場空間で再現する、水戸芸術館専属劇団ACMの太田省吾への
取り組みに、どうぞご期待ください。

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現代日本戯曲大系4
太田省吾特集「多声が共鳴する現代劇」

   10月3日(土)4日(日)
   劇団青年団『新版・小町風伝』
   原作/太田省吾  構成/平田オリザ

   10月10日(土)11日(日)
   演劇事務所UZURA『水の駅−3』
   原作/太田省吾  演出/太田省吾

   10月17日(土)
   uフィールド『やじるし』
   原作/太田省吾  構成・台本/井上弘久  演出/森屋由紀

   10月31日(土)11月1日(日)7日(土)8日(日)
   劇団ACM『死の薔薇』
   原作/太田省吾  構成・演出/長谷川裕久

水戸芸術館ACM劇場では、開館5周年記念事業として1995年にスタート
した「現代日本戯曲大系」のシリーズを毎年開催しております。
四回目の今年は、「多声が共鳴する現代劇」と題しまして太田省吾の特集
を予定しております。太田省吾率いる演劇集団「転形劇場」は70年代、80
年代の小劇場演劇において、沈黙劇という独特のスタイルを確立しました。
「転形劇場」解散後も彼らが残した公演活動の数々は日本のみならず海外
でも高い評価を得ております。

「戯曲は舞台という特殊な空間で演じられるという、想像的な枠を想定し、
それを発条とする形態の文学」とする太田省吾の世界は、77年に能舞台を
使って上演された『小町風伝』のころより劇中に沈黙が多くなりはじめ、
81年の『水の駅』では完全な黙劇に到達しました。このことは太田省吾が、
戯曲に対する疑念によって劇を成立させようとする矛盾を、沈黙という行為
に解決をみたことにほかなりません。つまり生涯といわれる時間の九割以上
を黙って生きるわれわれにとって、沈黙は特殊な局面にあらわれる非常の行
為ではなく、むしろわれわれの常態であることを戯曲を上演することで示し
たのです。

今回の戯曲大系では太田省吾の現代劇を、太田省吾自身をふくめ四人の演出
家と四つの劇団が再構成します。四つの多声が共鳴することを可能にさせる
太田省吾の戯曲の世界をお楽しみ下さい。
まずオープニングとして、劇団青年団による『新版・小町風伝』を上演しま
す。ACM劇場の空間に巨大な迷宮のようなアパートを出現させ、太田省吾
の『小町風伝』を大胆に改編します。続いて太田省吾が主宰する演劇事務所
UZURAの『水の駅−3』。太田省吾による自作のリメイクです。さらに、
かつての「転形劇場」のメンバーによって結成されたuフィールドによる
『やじるし』。太田省吾原作の『↑(やじるし)』『水の休日』『エレメン
ト』の三作品を『↑』を中心に構成した作品です。太田省吾特集のラストを
締め括るのが劇団ACMによる『死の薔薇』です。この作品は上演に際し、
ACM劇場の舞台及び客席を小劇場のスタイルに作り替え、長谷川裕久の構
成・演出でお贈りいたします。

−−−次回配信をお楽しみに! −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−