これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date:  Mon, 28 Jun 1999 00:20:23 +0900 (JST)
From:  tamamik@arttowermito.or.jp (Tamami Kojima)
Subject:  [atm-info,00728] Mito dell'arco
Sender:  jun@re.soum.co.jp
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▼ATM速報1999年6月27日発--------------------------------

水戸芸術館にこの秋誕生する、新しい専属弦楽四重奏団
"Mito dell'arco (ミト・デラルコ)"
メンバー、鈴木秀美からのメッセージ

"mito"はイタリア語で『ミート』というふうに発音し、英語の"Myth"と同
じく『伝説』とか『神話』を意味します。"arco"は弓。
"mito dell'arco"は『弓の伝説』といった意味です。
昨今オリジナル楽器での演奏は世界各地でますます盛んになり、種々の音
楽祭や音楽学校の古楽器コースにやってくる奏者、学生の顔ぶれは実に多
彩です。日本にも著名な演奏家やグループが毎年数多く訪れます。
しかし、フェスティヴァルの中心となる大きなイヴェントやコンサートは
オーケストラやオペラなど大規模なもので飾られ、緻密な室内楽をする機
会は今なおなかなか増えてこないのが実情です。また、私たちのようなオ
リジナル楽器奏者の多くは複数のオーケストラやアンサンブルに属してお
り、ある程度はオーケストラ主体の活動にならざるを得ません。

室内楽をする時間をもっと作りたい、どうやって活動すればよいかと考え
話し合っていたところに、水戸芸術館から『オリジナル楽器によるアンサ
ンブルを』という提案とご援助をいただき、ここに新たな弦楽四重奏団が
誕生することになりました。

弦楽四重奏は古典派以降の演奏形態ですが、古典派にはまだバロックの習
慣が強く残っています。バロック、またそれ以前の音楽を長年演奏してき
た、そして今もしている私たちがこのグループで表現したいと考えている
のは、クァルテットという形態が定着し始めた頃からロマン派へ至る道程、
つまり18世紀後半から19世紀前半にかけての音楽です。

音楽を享受するものが貴族から一般市民へと移るにつれ音楽への要求も大
きく変化していったこの時代、楽器や弓もさまざまに変化していきました。
私たちは、この次々と移り変わっていく音楽をそれぞれに相応しい道具で
表現しようと考えているのです。また、知られていない作曲家や忘れられ
つつある作品に再び光を当てることも仕事の大切な部分です。

本や絵画などで『伝説』のように伝えられてきた弓や楽器をもって、旧知
の音楽に新たな側面を見出し、或いはまた、経験と研究から生まれた弓使
いによって室内楽の『伝統』に新たなページを書き加える…。このクァル
テットの名前は皆様にどのような意味として届くでしょうか。

新生《ミト・デラルコ》を暖かくご支援下さいますよう、心よりお願い申
し上げます。

鈴木秀美

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Mito dell'arco(ミト・デラルコ)

第1ヴァイオリン:寺神戸  亮
Ryo Terakado
*1961年ボリビア生まれ。84年、桐朋学園大学首席卒業。
東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターとして活躍するが、
オリジナル楽器演奏に専心するために同団を退団、オランダのデン・ハー
グ王立音楽院に留学、S.クイケンに師事。
在学中よりその才能は高く評価され、欧州の主要オリジナル楽器オーケス
トラのコンサートマスターを歴任。現在はラ・プティット・バンド(以下
LPB )のコンサートマスターを務め、独奏、室内楽にも目覚しい成果を挙
げ、日本を代表するオリジナル楽器奏者として活躍を続けている。録音活
動も活発で、95年にコレッリのソナタ集、96年にモーツァルト:協奏交響
曲のCDでレコード・アカデミー賞を連続受賞。
現在、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集の録音継続中。
水戸芸術館にも LPB、クイケン・アンサンブル、バッハ・コレギウム・ジ
ャパン演奏会で登場している。

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第2ヴァイオリン:ドミトリー・バディアロフ
Dmitry Badiarov

*1993年サンクト・ペテルブルク国立音楽院卒。その後ブリュッセルの王
立音楽院においてS.クイケン、F.フェルナンデスらに学び、95年に首席で
卒業。1995年以降LPB、エックス・テンポーレ、レ・タラン・リリーク、
ファン・ヴァセナール・オーケストラ等と共演を重ねる。またバロック・
ヴァイオリン製作家・研究家として活発に活動しており、研究の成果をオ
クスフォード歴史的楽器研究者及び製作者による協会の季刊誌やイタリア、
ロヴェレートの古楽学会季刊誌等に掲載している。LPBメンバー。

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ヴィオラ:森田芳子
Yoshiko Morita

*東京芸術大学卒業。ヴィオラを浅妻文樹、兎束俊之、百武由紀、ウルリ
ッヒ・コッホに師事。第30回学生音楽コンクール第3位。
卒業の頃より、オリジナル楽器にも興味を持ち、古楽奏法を大橋敏成、宇
田川貞夫に、バロックヴァイオリンを若松夏美、C.マッキントッシュ、E.
ガッティに師事。BCJ、東京バッハ・
モーツァルト・オーケストラ、レストロ・アルモニコ東京、コレギウム・
アルジェントゥムのメンバー。現代楽器の分野でも活躍中。

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チェロ:鈴木秀美
Hidemi Suzuki
*1957年神戸生まれ。桐朋学園大学卒業。井上頼豊、安田謙一郎に師事。
第48回音楽コンクール第1位、第27回海外派遣コンクール特別表彰。
在学中よりオリジナル楽器奏者として活動。84年デン・ハーグ王立音楽院
に留学、A.ビルスマに師事。86年、パリの第 1回バロック・チェロ・コン
クールで1位受賞。その後、ソリスト、室内楽などで世界的な活躍を展開。
また「18世紀オーケストラ」に85年から93年まで在籍。現在は LPBの首席
チェロ奏者およびBCJの通奏低音奏者を務める。
録音も活発に行い、日本人初のドイツ・ハルモニア・ムンディレーベル専
属アーティストとして同レーベルからバッハ、ハイドン、ベートーヴェン
等のCDを発表。バッハ:無伴奏チェロ組曲のCDで文化庁芸術祭作品賞、ラ
・プティット・バンドと共演したハイドン:チェロ協奏曲集のCDでレコー
ド・アカデミー賞協奏曲部門を受賞。
99年 2月には水戸芸術館でバッハ:無伴奏チェロ組曲の演奏会を行い、絶
賛を博した。

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水戸芸術館専属古楽カルテット
Mito dell'arco(ミト・デラルコ)
結成記念第1回演奏会
1999年9月8日(水)  18:00開場  18:30開演
会場:水戸芸術館コンサートホールATM
料金(全席指定):A席3,000円・B席2,000円
チケット発売:7月10日(土)
友の会優先予約発売日:7月7日(水)
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http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---