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Date: Fri, 19 Nov 1999 23:48:11 +0900
From: Tamami Kojima <tamamik@arttowermito.or.jp>
Subject: [atm-info,00833] "Shin Tokyo Rose" -- Interview with Hasegawa and Onuma
To: atm-info@arttowermito.or.jp
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X-Mail-Count: 00833
▼ATM速報1999年11月19日発------------------------------
本日より、今週末と来週末との2週にわたる百人劇場シリーズ3の後半、
長谷川裕久の新作を松本小四郎の演出でおとどけする『新東京ローズ』の
公演期間に入りました。
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作家長谷川裕久、出演者小沼良典と『新東京ローズ』を語る
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11月19日(金)FMぱるるん放送
*公演のみどころが、俳優や演出家自身により語られる、魅力の連続番組
ながら、聴取可能地域が水戸市近郊(半径約10km以内)に限られますため、
主要部分をテキストでお届けいたしております。
Q:今日は百人劇場シリーズ3の二つ目の作品『新東京ローズ』について、
作者である長谷川裕久さんと、出演する小沼良典さんにいろいろとうかが
おうと思います。
この作品はオーディションで22名の出演者が選ばれていて、そのうち19名
が女性だと聞いていますが、どのような芝居であるのか話していただけま
すか?
長谷川:現在 ACMは、4人の専属の男優で構成されていて、ここ数年の書
き下ろし作品はすべて男性だけの出演者で創作しています。今年度の上演
作品について、今回演出を担当している松本さん(演劇部門芸術監督)と
話した時に、次は女性の芝居を書いてみてはと言われました。
ここのところ男性だけの芝居ばかりだったので、久方ぶりに書いてみよう
と思いました。それでつらつらと考えて、女性ということからいろいろと
イメ−ジを膨らませて、結果薔薇の話がいいかなと....、花壇に咲く薔薇
を見て決めました。というのも、ある日街を歩いていたら、ある中学校の
まわりに何十種類もの薔薇が咲いているのを見て、これって薔薇の花どう
しが競い合ったら面白くなるのではと思いました。その発想で書き出した
ら、今までになく大人数の芝居になってしまった。たくさんの女性が出て
きたほうが華やかでいいですしね。
Q:そうですね。ところで、小沼さんは出演する男性3人のうちの1人で
すが、女性に囲まれてどうですか?
小沼:やりにくいです(笑)。
Q:実は小沼さんは現役の高校生なんですが、自己紹介していただけます
か?
小沼:ふだんは高校の演劇部に所属していまして、勉強のほうは可もなく
不可もなくの高校生です。部活と勉強の両立がたいへんです(笑)。
Q:作品の内容について話していただけますか?
長谷川:一言で説明するのは難しいのですが、まず東京ローズについて。
第二次世界大戦中に、日本がアメリカへ向けて放送したラジオ放送、よう
するに謀略放送ですね、アメリカ軍の戦意を挫き、ホ−ムシックなイメー
ジをかりたてる番組がありました。そのDJにつけられたあだ名が東京ロー
ズです。先ほどお話しした薔薇の花を見て、薔薇の話を書くと決めたとき
に、もう一つ浮かんだのが東京ロ−ズという言葉だったんです。話の全体
をDJである東京ロ−ズの存在を軸に展開させて、ミステリー仕立てでいこ
うと考えました。物語はある女流作家のところへ、ラジオ放送局の編成の
男が開局記念番組の放送劇の台本執筆を依頼するところから始まります。
芝居自体は、放送劇の物語と、実際にそれを書いている作家の物語が一緒
に進行していきます。
そこへフレンドシップドールといって、1920年代に友情のしるしとして、
日米の間でたくさんの人形を贈りあったエピソ−ドが絡んできます。さら
に日系移民の歴史や、日米間の歴史、そして流民のイメージなどを、ラジ
オという言葉だけがどこまでも飛んでいく世界のイメージとダブらせて構
成されています。架空のラジオドラマと、女流作家がなぜこのドラマを書
こうとしたのかオーバーラップしながら、最後に一つの謎へ向かってつき
すすんでいきます。今回はミステリ−というかサスペンスなので、これ以
上喋ってしまうと種明かしになってしまうのでこの辺で止めますが、単純
に推理ものだとかミステリ−だと思って見てもらえればと... 割と娯楽性
も高いと考えているんですが。
Q:台本を読んでも、稽古を見ても、何が本当で何が嘘なのか不安になっ
てくるんですが...。
長谷川:一番言いたかったことは、虚と実、つまり何が本当で何が嘘か、
見方しだいでいくらでも転倒するということです。正しいと思ったものが、
見る者の角度を変えるとまた違ったものになる。さらにラジオは声だけな
ので、芝居もある意味そうなんですが、抽象力が高いので想像をかきたて
る。答があるわけではなく、見る人しだいでこうなのではないかと思って
くれればいいと考えています。芥川龍之介の『藪の中』、黒沢明監督『羅
生門』の原作ですが、あんな感じの世界です。ある正解を求めるのではな
く、それぞれの想像力で考えていただければと思います。
Q:台本を読んでみていかがですか?
小沼:読めば読むほど味がでます。本の最初の方でわからないところがあ
っても、必ず後半のどこかでそれにかかわる話があって解決したり、本当
に何気ないせりふの中にも次のせりふにかかわる重要なことが入っていた
り、多面的に広がったりします。本当に1回ではわからない。だから6回
公演全部見て下さい(笑)。
Q:小沼さんの演じる人物については?
小沼:記憶喪失です(笑)。僕のなかではそうなっています。
こいつは本当に記憶喪失なのか疑ってみても面白いですね。失っているふ
りをしているだけかもしれません。実はそんなつもりないのに、周りの登
場人物によって記憶喪失に仕立て上げられているのかもしれません。
Q:演じてみてどうですか?
小沼:今回のテ−マにもなっていると思うんですが、ひじょうに多面的で
いろんな演じ方ができる役なんですよ。だから一つの演じ方で終わらせる
のはもったいない。できれば6回公演全部違う感じでやれればいいんです
けど。
Q:最後に一言ずついただけますか?
長谷川:先週までは ACMの『マッチ売りの少女』でしたが、完売する日が
続いて、好評いただきありがとうございました。今回、私、演出家として
ではなく、作家として皆さんにお願い申し上げるんですが、この百人劇場
シリ−ズ3の2作品は印象からすると全然違うんですけど、先週見ていた
だいた方もまた見ていただくと、ACM劇場の魅力をより一層感じていた
だけると思います。ぜひいらっしゃって下さい。
一応作家からの一言でした。
小沼:見ていただいて分からないところもあると思いますが、皆さんの想
像力を膨らませていただいて観劇してください。今はやりの演劇とはちょ
っと違った、こういう演劇もあるのかというような芝居です。
● ACM百人劇場シリ−ズ・3「新東京ローズ」
11/19(金)19:00、11/20(土)19:00、11/21(日)16:00
11/26(金)19:00、11/27(土)19:00、11/28(日)16:00
[作]長谷川裕久 [演出]松本小四郎
全席自由 2,000円
http://www.arttowermito.or.jp/play/hyas99j.html#3
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