これまでにお送りした水戸芸術館ATM速報

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Date:  Fri, 17 Dec 1999 00:15:35 +0900
From:  Tamami Kojima <tamamik@arttowermito.or.jp>
Subject:  [atm-info,00852] Getting ready for Christmas
To:  atm-info@arttowermito.or.jp
Message-Id:  <199912161515.AAA21808@juran.asahi-net.or.jp>
X-Mail-Count: 00852

▼ATM速報1999年12月16日発------------------------------

「クリスマスの予定?ちょうど25日から、私担当のクリテリオムだから、
  イブは作家さんと仕事。もちろん館内で仕事しているわよ。24日も25日
  もしっかり仕事。小島さんは?家に帰らないの?」(逢坂恵理子監督)

家に帰らなかったことはありません、逢坂さん。私の方はもちろん、東京
湾クルーズ、どころではなく、クリスマスには経理の方で会計監査も入り、
webの方では300ファイルほど追加予定、お客様への感謝を込めた仕事も、
ひと山かたづけます。
音楽部門も26日のクリスマスコンサートに向けて、総力結集の大仕事中、
準備の模様はIBS茨城放送「ニュース2000」12月20日(月)午後4時45分
〜4時53分頃、生放送で紹介されます。
演劇部門の状況は、「なぜか日記が好きで、小学4年生の夏休みからほぼ
欠かさずにつけている」長山日記#2で一部ご想像ください。

というような、水戸芸術館職員のクリスマス日程、各部署いずれもが、
皆様をお迎えする準備に全力を尽くしております。
ぜひお立ち寄りください。

逢坂恵理子・美術部門芸術監督担当の、「CRITERIUM 42 高橋信行」は、
12月25日(土)から。開催中の「CRITERIUM 41 小林秀雄」は、この週末
19日(日)までです。

長山日記 #2 (水戸芸術館演劇部門学芸員・長山泰久)
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12/9(木)
夕方、ACMのメンバーに今回の朗読会についてのイメージを
話す。
だが、これはもちろん緊張する時間でもある。
自分の抱いているイメージは陳腐なものではないか。
自分が話している言葉は漠然とした空気の「芯」をきちんと
伝えているか。面白がってくれそうか。・・・。
探りながら、触りながら、言葉をつないでいく。
この場で具体的で、同時に大きな(あるいは深い)イメージ像を
描き出せなければ、実際に舞台に自分の中にしかまだないイメージを
3Dにして現出することはできない。
今日のところは、うまく伝わったのか、どうか。
不安は残る。
それでもまた稽古の日はやってくる。

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12/10(金)
自分の仕事は舞台を作ること。
本来的に厳密には、その環境を整えること。
それは出演と舞台技術、以外の総てがフィールドである。
ぜんぜん厳密ではないが、つまりそういうものが制作者だと
いうことを自分は2人の制作者から学んだ/学んでいる。
何人かの演出家、役者、技術者からも。記者・編集者からも。

しかし、それをいちばん教えてくれるのは観客だ。
お客さまをお迎えする直前の一瞬の劇場が好きだ。
その一瞬の後、
席が埋められていくスピードで劇場が息づくように思う。

いいかもしれない、いけてるかも、と思う舞台のときには
客席の上、お客さまの頭の上の空気が充実する。
ダメなときには、その空気がスカスカする。

今日は、長年「師」と仰いでいる演出家と制作者の手による
舞台を観た。
幸せな劇場の空気、というものは、こういうものだろう。
期待に満ち、応える自負と自信に満ち、しかもどこにも力みがない。

帰りの首都高・常磐道では、ACM劇場をその空気で充たすことを
考えながら、ついついアクセルを踏み込み過ぎた。
決して生易しくはないが、難しいことでもない、気がする。
そう願っている。

「ふゆの、ひかりの」のことは、舞台の途中で思考から抜けてしまった。
明日からまた仕切り直し。

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12/11(土)
このところ、週末はワークショップというか稽古で、埋まる。
午前中、「子供演劇アカデミー」のA組稽古。
午後イチで「水戸こどもの劇場」の依頼によるワークショップ。
そしてそれから帰って、「市民演劇学校」の朗読発表会。
この「市民演劇学校」の受講生が今日座内発表する朗読の作品(?)も
「ふゆの、ひかりの」と同時に並列して発表する、予定。

ここで正直に告白すると、この座内発表会の最中、睡魔に襲われ通しで
満足に朗読が入ってこない。
いつも思うことだが、舞台評やコンサート評を書く人間は
そのときの自分の体調を記しておく必要がある。

結果としては今日の発表をそのままのかたちで23日に発表するのは
難しい、ということになり、該当なし。
そこで「ふゆの、ひかりの」で子供たちと共演して欲しい候補者を
選ぶ。長谷川裕久と、ACMのメンバーにも相談にのってもらいながら。
これで、ようやく出演者が全員決定。

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12/12(日)
午前中、子供演劇アカデミーB組稽古。

昼を挟んで「子劇」からの出演者13名と、
衣裳室を含むACMメンバーの前で
今回のために選んだテキストを通して読んでみる。
創作戯曲であれば「作者による本読み」、プレゼンテーションである。
これもまた緊張する作業である。
人前で読んでみてわかるということもある。
テキストはいくつかの短編と詩を集めてつくっているが、
そのうちの短編ひとつを削ることにした。
欲張りすぎて焦点がぼけてしまい、集中が途切れる、ので。
ACMのメンバーもそのあたりについては実に率直に言う。
それが嬉しい。緊張しがいもあるっていうものだ。

「子劇」のメンバーを帰した後、「市民演劇学校」。
昨日の講評と、「ふゆの、ひかりの」の出演依頼。
お願いしたい6名のうち5名は御承諾いただいた。
1名は欠席だったため、火曜日に電話でお願いすることに。

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12/13(月)
昨日の午後から「やばいかも」と思っていたが、案の定、だ。
扁桃腺を腫らしてしまった。・・子供か、自分。
しかし、生活は、稽古と同じで生易しくはない。
灯油を買いに行かねばならないし、書かねばならない原稿もある。
「ふゆの、ひかりの」で使いたい小道具のうち、
調達できていないもの(ハッキリ言ってクリスマスもの)も
揃えたい。医者の友人が送ってくれるうがい薬が沁みる。

気がつけば12月も半ば。
日本の12月はクリスマスも年末も並列してあるので
ヨーロッパの国々よりも確実に忙しい。

週末、この日記をいったんトスしている水戸芸術館のネット担当
小島さんと立ち話。
実は我々の職場では
同じセクションの人間同士はひょっとすると家族よりも長い時間を
一緒に過ごすので、自然、会話も多いのだが、
セクションがちがうと、まして企画方(学芸)と事務局の面々とは
ともすると、そういうチャンスがなくなりがちなので、
機会は逃すわけにはいかない。
この日記の件について
「長山は本当にこういう日記を書いているのか」という
お問い合わせが相次いだらしいことを聞く。

答:「本当です」

http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html 次回配信をお楽しみに!---